よしの法律事務所コラム

2020.12.01更新

自然災害によって、住宅ローンの支払が困難になった個人の債務者や、事業ローンを払えなくなった個人の事業者などが、破産などの法的手続きによらないで、債務を整理するための制度(最終的には特定調停ということで簡易裁判所を利用することになります)として、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」という制度があります。これまで、熊本地震や、近年の豪雨災害などで、一定、利用されていました。本日12月1日から、新型コロナウイルス感染症の影響により、収入や売上げが減少した場合にも、その制度が利用できるようになりました。債務の借入時期と借入目的によって利用が制限されることや、債務者の手元の残せる自由財産の範囲が明確に定められていないことなどの課題はありますが、新型コロナウイルス感染症の影響で債務の返済が厳しくなった方への救済のメニューが増えたことは評価できると思います。

http://www.dgl.or.jp/covid19/

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2020.11.27更新

市議会から科された23日間の出席停止の懲罰が違憲、違法であるとして、その取消しを求めた事案の判決となります。普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は一律に司法審査の対象とならないとした最高裁判決があったことから大法廷で審理されました。
判決では、議会による懲罰の手続きは法律(地方自治法)で定められていることから「法令の適用によって終局的に解決し得るもの」であることが前提とされました。そして「議員に対する懲罰は、会議体としての議会内の秩序を保持し、もってその運営を円滑にすることを目的として科されるものであり、その権能は上記の自律的な権能の一内容を構成する」ということが前提だとしても、出席停止の懲罰を受けた議員は「議事に参与して議決に加わるなどの議員としての中核的な活動をすることができず、住民の負託を受けた議員としての責務を十分に果たすことができなくなる」という不利益となることから、「これが議員の権利行使の一時的制限にすぎないものとして、その適否が専ら議会の自主的、自律的な解決に委ねられるべきであるということはできない」という解釈が示されました。
結論として「出席停止の懲罰は、議会の自律的な権能に基づいてされたものとして、議会に一定の裁量が認められるべきであるものの、裁判所は、常にその適否を判断することができるというべきである」「普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は、司法審査の対象となるというべきである」と判断しました。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89851
この最高裁判決によって、「議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否」が司法審査の対象、すなわち裁判所で争うことが可能となりました。しかし、「議会に一定の裁量が認められるべき」との判示もあるとおり、ある程度の裁量は裁判所も認めるのでしょうから、裁量を超えて違憲・違法になる場合がどのような場合なのかは今後の裁判例の集積に委ねられるように思います。
とはいえ、裁判所を利用する場面が増えるという点では、弁護士として知っておかなければならない判例かと思います。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2020.11.09更新

中小企業等協同組合法に基づき設立された事業協同組合の役員選挙に関する判例となります。中小企業等協同組合法54条では,会社法831条1項1号が準用されており,最高裁は会社法の解釈と同様の考え方を示しました。
具体的には「事業協同組合の理事を選出する選挙の取消しを求める訴えの係属中に,後行の選挙が行われ,新たに理事又は監事が選出された場合であっても,理事を選出する先行の選挙を取り消す旨の判決が確定したときは,先行の選挙は初めから無効であったものとみなされるのであるから,その選挙で選出された理事によって構成される理事会がした招集決定に基づき同理事会で選出された代表理事が招集した総会において行われた新たに理事又は監事を選出する後行の選挙は,いわゆる全員出席総会においてされたなどの特段の事情がない限り,瑕疵があるものといわざるを得ない」「上記の取消しを求める訴えのような形成の訴えは,訴え提起後の事情の変化により取消しを求める実益がなくなって訴えの利益が消滅する場合があるものの,上記の取消しを求める訴えと併合された訴えにおいて,後行の選挙について上記の瑕疵が主張されている場合には,理事を選出する先行の選挙が取り消されるべきものであるか否かが後行の選挙の効力の先決問題となり,その判断をすることが不可欠であって,先行の選挙の取消しを求める実益があるというべきである」と述べたうえで「事業協同組合の理事を選出する選挙の取消しを求める訴えに,同選挙が取り消されるべきものであることを理由として後任理事又は監事を選出する後行の選挙の効力を争う訴えが併合されている場合には,上記特段の事情がない限り,先行の選挙の取消しを求める訴えの利益は消滅しないものと解するのが相当である」と訴えの利益を認めて,原判決を破棄して,事件を広島高裁に差し戻しました。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89677
訴えの利益が消滅する特段の事由として「いわゆる全員出席総会においてされたなど」としか判示されていないため,それ以外にどのような場合に特段の事情が認められるのかについては,今後の判例の蓄積に委ねられることになりました。
役員選挙などの先行する決議などの有効性を争う場合に,その後の手続きへの対応も十分にしておく必要があるということを再認識させられる判例だと思います。

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2020.10.20更新

自宅建物の増築工事に関して,上告人から請負代金の請求の裁判が提訴され,被上告人から工事の瑕疵に対する損害賠償請求の裁判が反訴として提訴され,併合審理されていた事件において,上告人(施工者)側からの相殺が認められるかが争点となった事案のようです。原審では,相殺は認められていませんでした。
最高裁は「上記両債権は,同時履行の関係にあるとはいえ,相互に現実の履行をさせなければならない特別の利益があるものとはいえず,両債権の間で相殺を認めても,相手方に不利益を与えることはなく,むしろ,相殺による清算的調整を図ることが当事者双方の便宜と公平にかない,法律関係を簡明にするものであるといえる」と2つの請求権の関係について述べたうえで「これらの本訴と反訴の弁論を分離すると,上記本訴請求債権の存否等に係る判断に矛盾抵触が生ずるおそれがあり,また,審理の重複によって訴訟上の不経済が生ずるため,このようなときには,両者の弁論を分離することは許されないというべきである。そして,本訴及び反訴が併合して審理判断される限り,上記相殺の抗弁について判断をしても,上記のおそれ等はないのであるから,上記相殺の抗弁を主張することは,重複起訴を禁じた民訴法142条の趣旨に反するものとはいえない」と両者の弁論を分離することは許されないことを前提に相殺の抗弁を認めました。
瑕疵による損害賠償の請求をしている側に現実に賠償額が入らなくなるということが気になりはしますが,弁論を分離しないことが前提であれば,請負工事において1回の精算で解決できることを考えると,妥当な結論ではないかと思います。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89700

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2020.10.02更新

東京電力の福島第一原発の事故に関して、全国で30ほどの集団訴訟が係争中ですが、国と東京電力を被告とする高裁の判決としては最初のものになります。
仙台高裁は、津波の予見可能性について「地震本部は、一審被告国が平成7年の阪神・淡路大震災を機に、地震防災対策の強化を図ることを目的として制定された地震防災対策特別措置法に基づき設置され、海溝型地震の発生可能性について、海域ごとに長期的な確率評価を行っていた国の公的機関であるから、「長期評価」は、単なる一専門家の論文等とはその性格や意義において大きく異なるものであった」「「長期評価」の見解は、一審被告国自らが地震に関する調査等のために設置し、多数の専門学者が参加した機関である地震本部が公表したものとして、個々の学者や民間団体の一見解とはその意義において格段に異なる重要な見解であり、相当程度に客観的かつ合理的根拠を有する科学的知見であったことは動かし難い」といわゆる「長期評価」の信頼性を肯定して、「遅くとも平成14年末頃までには、福島第一原発にO.P.+10mを超える津波が到来する可能性について認識し得た」と判断しました。
そして「全ての事情を総合考慮すると、本件における経済産業大臣による技術基準適合命令に係る規制権限の不行使は、専門技術的裁量が認められることを考慮しても、遅くとも平成18年末までには、許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くに至ったものと認めることが相当であり、一審原告らとの関係において、国賠法1条1項の適用上違法となる」として国の責任を認めました。
さらに「原子力発電所の設置・運営は、原子力の利用の一環として国家のエネルギー政策に深く関わる問題であり、我が国においては、一審被告国がその推進政策を採用し、原子力発電所に高い安全性を求めることを明示しつつ、自らの責任において、一審被告東電に福島第一原発の設置を許可し、その後も許可を維持してきたものである等の本件に現れた諸事情を総合考慮すれば、本件事故によって損害を被った者との対外的な関係において、一審被告国の立揚が二次的・補完的であることを根拠として、その責任の範囲を発生した損害の一部のみに限定することは、相当でない。一審被告東電及び一審被告国は一審原告らに係る損害全体についての損害賠償債務を負い、これらは不真正連帯債務の関係に立つ」と判断して、事故の被害者に対しては、国と東京電力に同じ範囲の責任を認めました。
国自らが設置した地震本部の調査結果を裁判において否定しようとした国の態度が厳しく非難された内容だと思います。
高裁レベルで国の責任を認めた画期的な判決だと思います。
判決の要旨は以下のアドレスから見ることができます。

http://www.nariwaisoshou.jp/progress/2020year/entry-845.html

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2020.09.17更新

河川法23条の許可を受けて河川から取水して利用している土地改良組合が,取水している用排水路に,公共下水道が整備されていないため,し尿等を各自の浄化槽により処理して排水している周辺の住民らに対して,使用料相当額の損害の支払を求めた裁判の最高裁判決となります。原審の高松高裁は,使用料の請求の一部を認めていました。
最高裁は「公水使用権は,公共用物である公水の上に存する権利であることに鑑み,その使用目的を満たすために必要な限度の流水を使用し得る権利にすぎないと解され,当該使用目的を満たすために必要な限度を超えて他人による流水の使用を排斥する権限を含むものではないというべきである。そうすると,被上告人は,本件水路に被上告人が河川法23条の許可に基づいてかんがいの目的で取水した水が流れていることから,その水について当該目的を満たすために必要な限度で排他的に使用する権利を有するとはいえるものの,直ちに第三者に対し本件水路への排水を禁止することができるとはいえない。」「したがって,本件水路に被上告人が河川法23条の許可に基づいて取水した水が流れていることから,被上告人が第三者に対し本件水路への排水を禁止することができるとし,上告人ら及び選定者Aの本件排水により本件水路の流水についての被上告人の排他的管理権が侵害されたとした原審の判断には,法令の解釈適用を誤った違法がある」と判断して,原判決を破棄して,使用料の請求を認めないという判断をしました。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88812%E3%80%80
許可に基づく権利だから第3者への排他性がまったく認められないのかというと,排他性が認められないと困るようなケースもありそうな気もするのですが,用水路は公的財産(市の財産)なので条例で使用料を決めるべき事案であるという趣旨の補足意見を読むと,結論としては妥当ではないかと思います。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2020.09.02更新

家事事件手続法154条2項において、「家庭裁判所は、次に掲げる審判において、当事者(第二号の審判にあっては、夫又は妻)に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる」と定められており、同項4号では、「財産の分与に関する処分の審判」が挙げられています。
この条文を前提に、財産分与の審判とあわせて、不動産(建物)の明渡しを命じることができるのかが、争点となった事案となります。
最高裁は「財産分与の審判がこれらの事項(当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して,分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法)を定めるものにとどまるとすると,当事者は,財産分与の審判の内容に沿った権利関係を実現するため,審判後に改めて給付を求める訴えを提起する等の手続をとらなければならないこととなる」が、「家事事件手続法154条2項4号は,このような迂遠な手続を避け,財産分与の審判を実効的なものとする趣旨から,家庭裁判所は,財産分与の審判において,当事者に対し,上記権利関係を実現するために必要な給付を命ずることができることとしたものと解される」うえ、「同号は,財産分与の審判の内容と当該審判において命ずることができる給付との関係について特段の限定をしていない」ことなどを根拠に「家庭裁判所は,財産分与の審判において,当事者双方がその協力によって得た一方当事者の所有名義の不動産であって他方当事者が占有するものにつき,当該他方当事者に分与しないものと判断した場合,その判断に沿った権利関係を実現するため必要と認めるときは,家事事件手続法154条2項4号に基づき,当該他方当事者に対し,当該一方当事者にこれを明け渡すよう命ずることができると解するのが相当である」と判断しました。
本決定では東京高裁に差戻しになっていますが「判断に沿った権利関係を実現するため必要と認め」られるかどうかを審理するためではないかと思われます。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89622
審判後に改めて給付の訴えを提起する手続きを必要とすべきかと考えると、このような判断でもやむを得ないように思います。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2020.08.24更新

交通事故によって,事故当時4歳だった被害者に高次脳機能障害の後遺症が残ったことから,後遺障害による逸失利益として,その就労可能期間の始期である18歳になる月の翌月からその終期である67歳になる月までの間に取得すべき収入額を,その間の各月に,定期金により支払うことを求めた事案の最高裁の判決です。
最高裁は「不法行為に基づく損害賠償制度は,被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し,加害者にこれを賠償させることにより,被害者が被った不利益を補塡して,不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とするものであり,また,損害の公平な分担を図ることをその理念とするところである。このような目的及び理念に照らすと,交通事故に起因する後遺障害による逸失利益という損害につき,将来において取得すべき利益の喪失が現実化する都度これに対応する時期にその利益に対応する定期金の支払をさせるとともに,上記かい離が生ずる場合には民訴法117条によりその是正を図ることができるようにすることが相当と認められる場合があるというべきである」「交通事故の被害者が事故に起因する後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めている場合において,上記目的及び理念に照らして相当と認められるときは,同逸失利益は,定期金による賠償の対象となるものと解される」という一般論を述べたうえで,「被上告人は本件後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めているところ,被上告人は,本件事故当時4歳の幼児で,高次脳機能障害という本件後遺障害のため労働能力を全部喪失したというのであり,同逸失利益は将来の長期間にわたり逐次現実化するものであるといえる。これらの事情等を総合考慮すると,本件後遺障害による逸失利益を定期金による賠償の対象とすることは,上記損害賠償制度の目的及び理念に照らして相当と認められるというべきである」と判断して,定期金による賠償を認めました。
さらに「上記後遺障害による逸失利益につき定期金による賠償を命ずるに当たっては,交通事故の時点で,被害者が死亡する原因となる具体的事由が存在し,近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り,就労可能期間の終期より前の被害者の死亡時を定期金による賠償の終期とすることを要しないと解するのが相当である」と判断して,仮に被害者が67歳より前に亡くなっても賠償義務は消滅しないということを明示しました。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89571
労働能力の喪失による逸失利益を請求する場合に,請求時点での一括金を請求する場合に,中間利息が控除されて金額が小さくなり,特に被害者が年少である場合にその不都合が指摘されていましたが,選択肢が1つ増えたと思いました。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2020.08.05更新

平素は当事務所をご利用いただき誠にありがとうございます。
誠に勝手ながら、2020年8月8日(土)から8月16日(日)までお盆休みとさせていただきます。
ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願い申し上げます。

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2020.08.03更新

中学校の教員が懲戒処分の取消や損害賠償を県の教育委員会に求めた裁判に関する最高裁の判決です。
①顧問を務める柔道部の部員間の暴力行為を伴ういじめの事実を把握しながら,被害生徒の受診時に「階段から転んだことにしておけ。」と,虚偽の説明をするよう指示したこと,②加害生徒の近畿大会への出場を禁止する旨の校長の職務命令に従わず同生徒を出場させたこと,③部活動で使用していた校内の設置物に係る校長からの繰り返しの撤去指示に長期間対応しなかったことの3つを理由に,免職の次に重い6か月間の停職処分がなされた事案のようです。
1審は請求を棄却したようですが,大阪高裁は,①ないし③の事実にも酌むべき事情があることや,懲戒処分についての処分基準を定められていなかったことなどを理由に,社会通念上裁量権の範囲を逸脱していたなどとして,懲戒処分の取消したようです。
最高裁は,大阪高裁の判決のうち教育委員会の敗訴部分を破棄して,1審の結論を支持(控訴棄却)と判断しました。
その理由は,①の行為について「いじめを受けている生徒の心配や不安,苦痛を取り除くことを最優先として適切かつ迅速に対処するとともに,問題の解決に向けて学校全体で組織的に対応することを求めるいじめ防止対策推進法や県いじめ防止基本方針等に反する重大な非違行為であるといわざるを得ない」ことから「いじめの事実を認識した公立学校の教職員の対応として,法令等に明らかに反する上,その職の信用を著しく失墜させるものというべきであるから,厳しい非難は免れない」と厳しく批判し「本件処分の理由とされた一連の各非違行為は,その経緯や態様等において強い非難に値するものというほかなく,これが本件中学校における学校運営や生徒への教育,指導等に及ぼす悪影響も軽視できない上,上告人や市の公立学校における公務への信頼をも損なわせるものであり,非違行為としての程度は重いといわざるを得ない」と非違行為を評価したうえで「本件処分は,本件懲戒条例の下では免職に次ぐ相当に重い処分であり,また,処分の量定に関する上告人の主張には,個々の加重事由の考慮方法が形式的に過ぎるなど,直ちに首肯し難い点もあるものの,前記のような一連の各非違行為の非違の程度等を踏まえると,被上告人に対する処分について,県教委が停職6月という量定を選択したことが,社会観念上著しく妥当を欠くものであるとまではいえず,県教委の判断が,懲戒権者に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものということはできない」と結論づけました。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89559
いじめが社会問題化していることを最高裁が重視した判断のように思います。スポーツの関係者からは厳しいという意見もあるのではないかとは思いますが,私がスポーツ指導者の研修の講師をした経験から考えても,「暴力・体罰の禁止」は言われ続けていることでもありますので,このような最高裁の判断はやむを得ないように思いました。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

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