3月27日、長崎地裁は、諫早湾干拓事業に関して、排水門の開門を求める漁業者側、開門に反対する農業者側、国の3者で1年以上にわたって行われてきた和解協議を打ち切って、4月17日に判決を言い渡すことを決めました。
この和解協議において、開門を求める弁護団は、当初から、開門する・しないの結論を決めるのではなく、開門にかかわるあらゆる論点について協議しようと言い続けてきました。しかし、長崎地裁は、開門に反対する農業者側が、開門を前提にする話し合いには応じられないという意見のみを受け入れ、開門しない場合の代替案としての基金案の検討をひたすら続けました。そして、長崎地裁は2月24日にやっと開門しない案だけでなく、開門する場合に関する協議を併行して協議を行うことを提案しました。しかし、その検討はわずか1回で、しかも、裁判長が転勤することから、さっさと打ち切られました。公正中立である裁判所が、一方の意見の立場でしか検討を行わなかったことは残念でなりません。
福岡高裁で再度和解協議を始められるように、弁護団としていっそうの努力が必要だと感じました。
弁護士吉野隆二郎
福岡市博多区博多駅前2-10-12-208