よしの法律事務所コラム

2021.10.30更新

宅建業者の名義貸しに関する最高裁判例になります。東京高裁は,免許のないものとの利益分配の合意の効力を認めたようです。
最高裁は,宅地建物取引業法が免許制度を採用しているのは,その者の業務の適正な運営と宅地建物取引の公正とを確保するとともに,宅地建物取引業の健全な発達を促進し,これにより購入者等の利益の保護等を図ることを目的とするという法の趣旨を検討したうえで,「宅建業者が無免許者にその名義を貸し,無免許者が当該名義を用いて宅地建物取引業を営む行為は,同法12条1項及び13条1項に違反し,同法の採用する免許制度を潜脱するものであって,反社会性の強いものというべきである」「無免許者が宅地建物取引業を営むために宅建業者との間でするその名義を借りる旨の合意は,同法12条1項及び13条1項の趣旨に反し,公序良俗に反するものであり,これと併せて,宅建業者の名義を借りてされた取引による利益を分配する旨の合意がされた場合,当該合意は,名義を借りる旨の合意と一体のものとみるべきである」「したがって,無免許者が宅地建物取引業を営むために宅建業者からその名義を借り,当該名義を借りてされた取引による利益を両者で分配する旨の合意は,同法12条1項及び13条1項の趣旨に反するものとして,公序良俗に反し,無効であるというべきである」と判断して,利益を分配する旨の合意の効力を認めた原判決を破棄して,合意の効力等について更に審理を尽くさせるために,東京高裁に差し戻しました。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90443
確かに,合意があれば,免許のないものが自由に名義借りをして利益を得ることができるということが認められれば,免許制度に意味がなくなってしまいますので,妥当な結論ではないかと思います。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所


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