よしの法律事務所コラム

2022.04.29更新

交通事故に関する保険事故の賠償に関する事案のようです。人身傷害保険によって支払われた金額について、自賠責保険部分も含まれるとして、保険会社が自賠責保険部分の控除を求める主張をして、原審ではそれが認められていたようです。
最高裁は「本件のように訴外保険会社が人身傷害保険金として給付義務を負うとされている金額と同額を支払ったにすぎないときには、保険金請求権者としては人身傷害保険金のみが支払われたものと理解するのが通常であり、そこに自賠責保険による損害賠償額の支払分が含まれているとみるのは不自然、不合理である」などの理由から「上告人の被上告人に対する損害賠償請求権の額から、訴外保険会社が本件支払金の支払により保険代位することができる範囲を超えて本件自賠金に相当する額を控除することはできないというべきである」と判断しました。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91048
人身傷害保険において、給付義務を負うとされている金額のみを支払っている場合に、本来の請求先である保険会社に、その他社の支払い額の控除を認めるのは、保険契約者の意思に反するように思われますので、妥当な判断だと思います。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所


SEARCH


ARCHIVE


CATEGORY