よしの法律事務所コラム

2020.06.02更新

離婚調停成立後に,離婚調停成立以前の婚姻費用の分担請求が認められるかが争点となった判例です。
最高裁は「婚姻費用の分担は,当事者が婚姻関係にあることを前提とするものであるから,婚姻費用分担審判の申立て後に離婚により婚姻関係が終了した場合には,離婚時以後の分の費用につきその分担を同条により求める余地がないことは明らかである。しかし,上記の場合に,婚姻関係にある間に当事者が有していた離婚時までの分の婚姻費用についての実体法上の権利が当然に消滅するものと解すべき理由は何ら存在せず,家庭裁判所は,過去に遡って婚姻費用の分担額を形成決定することができるのであるから,夫婦の資産,収入その他一切の事情を考慮して,離婚時までの過去の婚姻費用のみの具体的な分担額を形成決定することもできると解するのが相当である。このことは,当事者が婚姻費用の清算のための給付を含めて財産分与の請求をすることができる場合であっても,異なるものではない」ということを理由として,「婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚したとしても,これにより婚姻費用分担請求権が消滅するものとはいえない」と判断して原決定を破棄して札幌高裁に差し戻しました。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89187
離婚が成立したことと,離婚以前の婚姻費用の負担の問題とは確かに別次元のものなので、妥当な結論の決定ではないかと思います。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所


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