よしの法律事務所コラム

2021.11.26更新

交通事故において,人身損害と物損(車両損傷)の消滅時効の起算点に関する最高裁判決となります。
最高裁は「交通事故の被害者の加害者に対する車両損傷を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権の短期消滅時効は,同一の交通事故により同一の被害者に身体傷害を理由とする損害が生じた場合であっても,被害者が,加害者に加え,上記車両損傷を理由とする損害を知った時から進行するものと解するのが相当である」「なぜなら,車両損傷を理由とする損害と身体傷害を理由とする損害とは,これらが同一の交通事故により同一の被害者に生じたものであっても,被侵害利益を異にするものであり,車両損傷を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権は,身体傷害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権とは異なる請求権であると解されるのであって,そうである以上,上記各損害賠償請求権の短期消滅時効の起算点は,請求権ごとに各別に判断されるべきものであるからである」と判示して,物損の消滅時効が先に成立することを認めました。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90661
損害の性質の違いから考えればこのような結論になるのだと思いますが,人身障害が重い場合で,過失割合に争いがある場合などへの対応については,悩ましいように思われます。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所


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