よしの法律事務所コラム

2017.10.26更新

個人情報の外部による漏えいによって精神的な苦痛を被ったとして慰謝料等の損害賠償を求めた事件の最高裁の判決です。
判示によれば、「被上告人のシステムの開発、運用を行っていた会社の業務委託先の従業員であった者が、被上告人のデータベースから被上告人の顧客等に係る大量の個人情報を不正に持ち出したことによって生じたものであり、上記の者は、持ち出したこれらの個人情報の全部又は一部を複数の名簿業者に売却した」という事案において、大阪高裁は「本件漏えいによって、上告人が迷惑行為を受けているとか、財産的な損害を被ったなど、不快感や不安を超える損害を被ったことについての主張、立証がされていない」から請求を認めなかったようです。
これに対して最高裁は、「本件漏えいによって、上告人は、そのプライバシーを侵害された」から、「プライバシーの侵害による上告人の精神的損害の有無及びその程度等について十分に審理することなく、不快感等を超える損害の発生についての主張、立証がされていないということのみから」請求を認めなかったことは、「不法行為における損害に関する法令の解釈適用を誤った結果、上記の点について審理を尽くさなかった違法がある」として、判決を破棄して大阪高裁に差し戻すという判断を示しました。
個人情報の保護について慎重な対応が求められるということを考えさせられる判決です。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87154

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2017.10.19更新

10月18日に公益財団法人日本体育協会の平成29年度公認コーチ等養成研修会の講師をさせていただきました。福岡県体育協会主催のものは過去に何度か経験もあり、テキストも同じでしたので、とどこおりなく講義ができたかと思います。弁護士の立場からは、判例の事例から、スポーツ事故を未然に防止するヒントを少しでも持って帰っていただければと思っております。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2017.10.13更新

東京電力の福島原発事故をめぐる集団訴訟において全国で3番目に出された判決となります。
判決では、文部科学省地震調査研究推進本部地震調査委員会が平成14年7月31日に作成した「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」(長期評価)に基づいて、国が直ちにシミュレーションを実施していれば、福島第一原発敷地南側において最大O.P.+15.7mの津波の予見は可能であったことから、平成14年末までに国が東京電力にO.P.+15.7mの津波に対する安全性の確保を命じていれば本件事故は回避可能であったと判断して、国の責任を認めました。9月22日の千葉地裁の判決よりは説得力があるように思います。
その一方で、賠償を認めた金額は、原告2907名の合計4億9795万円+遅延損害金のようです。翌日に東京地裁立川支部で出された横田基地の騒音訴訟では、原告約1000名に対して、約6億1000万円の賠償が認められたようです。単純に比較はできませんが、目に見えないとはいえ放射能による被害への賠償はまだまだ十分ではないように思えます。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所


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