よしの法律事務所コラム

2017.10.13更新

東京電力の福島原発事故をめぐる集団訴訟において全国で3番目に出された判決となります。
判決では、文部科学省地震調査研究推進本部地震調査委員会が平成14年7月31日に作成した「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」(長期評価)に基づいて、国が直ちにシミュレーションを実施していれば、福島第一原発敷地南側において最大O.P.+15.7mの津波の予見は可能であったことから、平成14年末までに国が東京電力にO.P.+15.7mの津波に対する安全性の確保を命じていれば本件事故は回避可能であったと判断して、国の責任を認めました。9月22日の千葉地裁の判決よりは説得力があるように思います。
その一方で、賠償を認めた金額は、原告2907名の合計4億9795万円+遅延損害金のようです。翌日に東京地裁立川支部で出された横田基地の騒音訴訟では、原告約1000名に対して、約6億1000万円の賠償が認められたようです。単純に比較はできませんが、目に見えないとはいえ放射能による被害への賠償はまだまだ十分ではないように思えます。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所


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