よしの法律事務所コラム

2018.04.25更新

親権に基づく子の引き渡しに関して、家庭裁判所の手続を利用せず、民事の仮処分申立を行った事案の最高裁の決定です。
最高裁は、「離婚した父母のうち子の親権者と定められた一方は、民事訴訟の手続により、法律上監護権を有しない他方に対して親権に基づく妨害排除請求として子の引渡しを求めることができると解される」と一般論として民事の仮処分手続を利用することは認めました。
しかし、「親権を行う者は子の利益のために子の監護を行う権利を有する(民法820条)から、子の利益を害する親権の行使は、権利の濫用として許されない」という一般論を述べたうえで、「抗告人が、子の監護に関する処分としてではなく、親権に基づく妨害排除請求として長男の引渡しを求める合理的な理由を有することはうかがわれない」と判断して、「権利の濫用」で引き渡しを認めませんでした。
この決定を読むと、民事の仮処分を利用する場合で、「権利濫用」にならないケースがあるのかとやや疑問に思いますが、どのような手続が行えるのかの一般論については参考になるケースかと思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87288

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2018.04.17更新

4月14日(土)13時30分から諫早市中央公民館で、干潟を守る日の全国イベントの1つとして開催された表記イベントに参加しました。
干潟を守る日というのは、1997年4月14日の潮受け堤防による締切りを契機とした干潟の保全活動の機運の高まりから生まれたものです。
諫早湾干拓によって造成された新干拓地の農業者が実際には農業に苦戦しているという情報を聞き、干拓事業の被害者は漁業者だけでなく、農業者も被害者なのだと感じました。漁業者と農業者が共存できるためにはどうしたらいいのかを、真剣に考える時期に来ているように思います。

higata2018

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2018.04.04更新

玄海原発の3号機及び4号機の運転の停止を求めた仮処分に関する決定です。佐賀地裁では、昨年の6月13日にも同趣旨の決定が下されていました。
決定は「本件各原子炉施設に係る防災計画は、債権者らが指摘する前記第2の4⑹(債権者らの主張)記載の点を踏まえても、その具体的内容に不適切な点があるということはできない」と判断しました。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87631
しかし、この決定後の3月23日に、玄海原発から30キロ圏内の平戸市において、「国や九電は原発の再稼働を前提とした動きばかりに注力し、住民避難の実効性を確保するための改善策は何ら実行されていない」などと指摘する再稼働反対の意見書が市議会において全会一致で可決されました。
同じ30キロ圏の壱岐市も同日に再稼働反対の意見書が市議会において全会一致で可決されました。

https://www.city.hirado.nagasaki.jp/kurashi/news/2018/2018-0323-1339-129.html
そのような周辺自治体が避難の実効性に疑問を持っていることは何らこの決定に反映されていないことは残念に思います。
4月2日には、玄海原発3号機の配管に穴が見つかりましたが、それに関し、九電の瓜生社長は「(運転を)7年間止めていたため『何が起こるか分からない』と言っていたが、現実になってしまい、非常に残念だ」と語ったと報道されています。
「何が起こるか分からない」原発を再稼働させる必要があるのか、疑問に思うばかりです。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所


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