県議会における議員の発言が不穏当であるということで、その発言が会議録の原本には掲載されているものの配布用の会議録などに掲載されなかったことについて、県議会議長が会議規則に基づき当該発言を取り消した行為を、行政処分ととらえてその取り消しを求める裁判を提訴した事案のようです。
高裁では、司法審査の対象となると判断されたようですが、最高裁においては、地方自治法の趣旨から、「議員の議事における発言に関しては,議長に当該発言の取消しを命ずるなどの権限を認め,もって議会が当該発言をめぐる議場における秩序の維持等に関する係争を自主的,自律的に解決することを前提としているものと解される」と解釈して、「県議会議長の県議会議員に対する発言の取消命令の適否
は,司法審査の対象とはならないと解するのが相当である」と判断しました。
地方議会の自律的な運営をどう考えるのかということについて考えさせられる判決だと思います。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87701
弁護士吉野隆二郎