よしの法律事務所コラム

2022.06.30更新

福島第一原発の事故に関して、国の責任についての最高裁の判決となります。4つの事件に関するものが同時に出されています。
最高裁第2小法廷は、3名の裁判官の多数意見として「仮に、経済産業大臣が、本件長期評価を前提に、電気事業法40条に基づく規制権限を行使して、津波による本件発電所の事故を防ぐための適切な措置を講ずることを東京電力に義務付け、東京電力がその義務を履行していたとしても、本件津波の到来に伴って大量の海水が本件敷地に浸入することは避けられなかった可能性が高く、その大量の海水が主要建屋の中に浸入し、本件非常用電源設備が浸水によりその機能を失うなどして本件各原子炉施設が電源喪失の事態に陥り、本件事故と同様の事故が発生するに至っていた可能性が相当にあるといわざるを得ない」「そうすると、本件の事実関係の下においては、経済産業大臣が上記の規制権限を行使していれば本件事故又はこれと同様の事故が発生しなかったであろうという関係を認めることはできないことになる」と判断して国の責任を否定しました。
この論理だと、どれだけ電力会社に事故対策を講じさせても、再度、予測できない災害が発生して原発事故が発生しても、国が責任を負わないということになり、結局、事故を発生させないためには、原発をやめるしかないように思えます。
むしろ、国の責任を認めるべきだという三浦裁判官の反対意見の方が説得的であるように思いました。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91242

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所


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