よしの法律事務所コラム

2024.04.30更新

2024年4月26日
よみがえれ!有明訴訟弁護団

 昨日、最高裁判所から諫早湾内開門請求2陣3陣訴訟についての4月24日付け上告棄却・不受理決定が届いた。
 この最高裁決定は、一審、二審の審理を経て、諫早湾干拓事業による干潟の水質浄化等の機能の喪失に加え、潮受堤防締切りによる潮流速の低下、成層化、貧酸素化の進行、赤潮の発生件数の増加、底質環境の悪化等の要因が複合して、諫早湾の漁場環境の悪化を招来し、諫早湾におけるタイラギ漁業及び漁船漁業の漁獲量が減少し、かかる状態が将来にわたり継続することが予想されることから漁民らの漁業行使権が一部侵害されていることが認められたにもかかわらず、事業の公共性、公益性や開門による被害について十分に審理することなく開門請求を否定した福岡高裁判決を追認する極めて不当なものである。我々は、このような不当決定を到底受け入れることはできず、不当決定を出した最高裁判所に対しては断固抗議するものである。
 もっとも、今回の不当判決においても、潮受堤防締切りにより諫早湾内の漁場環境が悪化し、漁民が被害を受けていること、そしてそれが将来も継続するであろうことが否定されるものではなく、国はその事実を真摯に受け止めるべきである。国は、諫早湾内を中心に有明海の多数の漁民が、潮受堤防締切りによる漁業被害を受け続けている以上、有明海を再生し、全ての漁民の被害を回復するために尽力しなければならない責務があることを認識しなければならない。
 そして、有明海再生を実現するためには、国や関係諸団体と話し合いを行っていくことが必要である我々の立場は、今回の不当判決を受けても全く変わることはない。国は、かつて福岡高裁からも示されたとおり、我々との有明海再生に向けた話し合いに応じ、各関係者との利害調整も行った上で、諫早湾干拓をめぐる紛争を解決し、真の有明海再生に向かう道を進み出すべきである。
我々としては、今後も国や関係諸団体等と話し合いを続け、有明海の再生に向けて尽力していくつもりである。
以 上

投稿者: よしの法律事務所


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