よしの法律事務所コラム

2020.09.02更新

家事事件手続法154条2項において、「家庭裁判所は、次に掲げる審判において、当事者(第二号の審判にあっては、夫又は妻)に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる」と定められており、同項4号では、「財産の分与に関する処分の審判」が挙げられています。
この条文を前提に、財産分与の審判とあわせて、不動産(建物)の明渡しを命じることができるのかが、争点となった事案となります。
最高裁は「財産分与の審判がこれらの事項(当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して,分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法)を定めるものにとどまるとすると,当事者は,財産分与の審判の内容に沿った権利関係を実現するため,審判後に改めて給付を求める訴えを提起する等の手続をとらなければならないこととなる」が、「家事事件手続法154条2項4号は,このような迂遠な手続を避け,財産分与の審判を実効的なものとする趣旨から,家庭裁判所は,財産分与の審判において,当事者に対し,上記権利関係を実現するために必要な給付を命ずることができることとしたものと解される」うえ、「同号は,財産分与の審判の内容と当該審判において命ずることができる給付との関係について特段の限定をしていない」ことなどを根拠に「家庭裁判所は,財産分与の審判において,当事者双方がその協力によって得た一方当事者の所有名義の不動産であって他方当事者が占有するものにつき,当該他方当事者に分与しないものと判断した場合,その判断に沿った権利関係を実現するため必要と認めるときは,家事事件手続法154条2項4号に基づき,当該他方当事者に対し,当該一方当事者にこれを明け渡すよう命ずることができると解するのが相当である」と判断しました。
本決定では東京高裁に差戻しになっていますが「判断に沿った権利関係を実現するため必要と認め」られるかどうかを審理するためではないかと思われます。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89622
審判後に改めて給付の訴えを提起する手続きを必要とすべきかと考えると、このような判断でもやむを得ないように思います。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所