よしの法律事務所コラム

2020.11.09更新

中小企業等協同組合法に基づき設立された事業協同組合の役員選挙に関する判例となります。中小企業等協同組合法54条では,会社法831条1項1号が準用されており,最高裁は会社法の解釈と同様の考え方を示しました。
具体的には「事業協同組合の理事を選出する選挙の取消しを求める訴えの係属中に,後行の選挙が行われ,新たに理事又は監事が選出された場合であっても,理事を選出する先行の選挙を取り消す旨の判決が確定したときは,先行の選挙は初めから無効であったものとみなされるのであるから,その選挙で選出された理事によって構成される理事会がした招集決定に基づき同理事会で選出された代表理事が招集した総会において行われた新たに理事又は監事を選出する後行の選挙は,いわゆる全員出席総会においてされたなどの特段の事情がない限り,瑕疵があるものといわざるを得ない」「上記の取消しを求める訴えのような形成の訴えは,訴え提起後の事情の変化により取消しを求める実益がなくなって訴えの利益が消滅する場合があるものの,上記の取消しを求める訴えと併合された訴えにおいて,後行の選挙について上記の瑕疵が主張されている場合には,理事を選出する先行の選挙が取り消されるべきものであるか否かが後行の選挙の効力の先決問題となり,その判断をすることが不可欠であって,先行の選挙の取消しを求める実益があるというべきである」と述べたうえで「事業協同組合の理事を選出する選挙の取消しを求める訴えに,同選挙が取り消されるべきものであることを理由として後任理事又は監事を選出する後行の選挙の効力を争う訴えが併合されている場合には,上記特段の事情がない限り,先行の選挙の取消しを求める訴えの利益は消滅しないものと解するのが相当である」と訴えの利益を認めて,原判決を破棄して,事件を広島高裁に差し戻しました。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89677
訴えの利益が消滅する特段の事由として「いわゆる全員出席総会においてされたなど」としか判示されていないため,それ以外にどのような場合に特段の事情が認められるのかについては,今後の判例の蓄積に委ねられることになりました。
役員選挙などの先行する決議などの有効性を争う場合に,その後の手続きへの対応も十分にしておく必要があるということを再認識させられる判例だと思います。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所