よしの法律事務所コラム

2018.06.11更新

6月6日から7日にかけて、第43回公害被害者総行動が開催されました。私は有明弁護団の一員として、農水省との交渉に参加しました。開門を命じた確定判決に基づく強制執行をできなくすることを目的に国が提訴した請求異議訴訟の控訴審(福岡高裁)における和解協議において、開門しないことを前提として「基金」を作ることが国から提案されました。この「基金」は、農水省の担当者によれば、有明海再生のために必須なものではなく、「基金を活用して効果が出るように努力する」というレベルのものだという説明でした。私たちからは、裁判で和解するか(開門の可否をどうするか)の話と、有明海を再生させるための手段の1つとして基金を設立することは別の次元の話ではないか、基金を創設するには特別な理由が必要だとしても、有明海の再生のためには特別措置法まであるのだから、その法律の枠内で基金を設立することは可能ではないかなどと、「開門の可否」と切り離して、基金を設立するのであれば私たちも最大限協力するという話もしましたが、農水省の担当者には聞き入れてもらえませんでした。
効果があるのかわからない「基金」を創設するために、有明海の再生の第一歩となる開門請求権を放棄させようとするという農水省の態度には納得がいきません。

弁護士吉野隆二郎

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2018.05.26更新

県議会における議員の発言が不穏当であるということで、その発言が会議録の原本には掲載されているものの配布用の会議録などに掲載されなかったことについて、県議会議長が会議規則に基づき当該発言を取り消した行為を、行政処分ととらえてその取り消しを求める裁判を提訴した事案のようです。
高裁では、司法審査の対象となると判断されたようですが、最高裁においては、地方自治法の趣旨から、「議員の議事における発言に関しては,議長に当該発言の取消しを命ずるなどの権限を認め,もって議会が当該発言をめぐる議場における秩序の維持等に関する係争を自主的,自律的に解決することを前提としているものと解される」と解釈して、「県議会議長の県議会議員に対する発言の取消命令の適否
は,司法審査の対象とはならないと解するのが相当である」と判断しました。
地方議会の自律的な運営をどう考えるのかということについて考えさせられる判決だと思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87701

弁護士吉野隆二郎

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2018.05.17更新

株券が発行されていない株式を差し押さえた債権者が、売却命令まで得て株式を売却した後に、配当異議の訴えが提起されたことから、配当額に相当する金銭の供託がされた後に、債務者が破産して破産管財人が選任された場合に、差押え手続の効力がどうなるかが争われた事案のようです。
最高裁は、強制執行は終了していなかったということを前提に、執行裁判所が差押命令を取り消したという判断は正当だと結論づけました。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87689
破産しそうな債務者に、破産しないうちに、判決などの債務名義を取得して強制執行で回収をはかるということは弁護士なら誰でも考えることですが、ほんのちょっとの差で優先的な回収ができなくなるというリスクについて考えさせられる判例です。

弁護士吉野隆二郎

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2018.05.07更新

免責された債権とその債権を被担保債権としていた抵当権の扱いがどうなるのかについての最高裁の判決です。
最高裁は「免責許可の決定の効力を受ける債権は、債権者において訴えをもって履行を請求しその強制的実現を図ることができなくなり、上記債権については、もはや民法166条1項に定める「権利を行使することができる時」を起算点とする消滅時効の進行を観念することができないというべきである」ということを前提に、「抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合には、民法396条は適用されず、債務者及び抵当権設定者に対する関係においても、当該抵当権自体が、同法167条2項所定の20年の消滅時効にかかると解するのが相当である」と判断しました。
この判例を前提にしても、20年以内に競売手続等の権利行使をしないと抵当権も消滅時効にかかることになります。珍しいケースだとは思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87485

弁護士吉野隆二郎

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2018.04.25更新

親権に基づく子の引き渡しに関して、家庭裁判所の手続を利用せず、民事の仮処分申立を行った事案の最高裁の決定です。
最高裁は、「離婚した父母のうち子の親権者と定められた一方は、民事訴訟の手続により、法律上監護権を有しない他方に対して親権に基づく妨害排除請求として子の引渡しを求めることができると解される」と一般論として民事の仮処分手続を利用することは認めました。
しかし、「親権を行う者は子の利益のために子の監護を行う権利を有する(民法820条)から、子の利益を害する親権の行使は、権利の濫用として許されない」という一般論を述べたうえで、「抗告人が、子の監護に関する処分としてではなく、親権に基づく妨害排除請求として長男の引渡しを求める合理的な理由を有することはうかがわれない」と判断して、「権利の濫用」で引き渡しを認めませんでした。
この決定を読むと、民事の仮処分を利用する場合で、「権利濫用」にならないケースがあるのかとやや疑問に思いますが、どのような手続が行えるのかの一般論については参考になるケースかと思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87288

弁護士吉野隆二郎

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2018.04.17更新

4月14日(土)13時30分から諫早市中央公民館で、干潟を守る日の全国イベントの1つとして開催された表記イベントに参加しました。
干潟を守る日というのは、1997年4月14日の潮受け堤防による締切りを契機とした干潟の保全活動の機運の高まりから生まれたものです。
諫早湾干拓によって造成された新干拓地の農業者が実際には農業に苦戦しているという情報を聞き、干拓事業の被害者は漁業者だけでなく、農業者も被害者なのだと感じました。漁業者と農業者が共存できるためにはどうしたらいいのかを、真剣に考える時期に来ているように思います。

higata2018

弁護士吉野隆二郎

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2018.04.04更新

玄海原発の3号機及び4号機の運転の停止を求めた仮処分に関する決定です。佐賀地裁では、昨年の6月13日にも同趣旨の決定が下されていました。
決定は「本件各原子炉施設に係る防災計画は、債権者らが指摘する前記第2の4⑹(債権者らの主張)記載の点を踏まえても、その具体的内容に不適切な点があるということはできない」と判断しました。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87631
しかし、この決定後の3月23日に、玄海原発から30キロ圏内の平戸市において、「国や九電は原発の再稼働を前提とした動きばかりに注力し、住民避難の実効性を確保するための改善策は何ら実行されていない」などと指摘する再稼働反対の意見書が市議会において全会一致で可決されました。
同じ30キロ圏の壱岐市も同日に再稼働反対の意見書が市議会において全会一致で可決されました。

https://www.city.hirado.nagasaki.jp/kurashi/news/2018/2018-0323-1339-129.html
そのような周辺自治体が避難の実効性に疑問を持っていることは何らこの決定に反映されていないことは残念に思います。
4月2日には、玄海原発3号機の配管に穴が見つかりましたが、それに関し、九電の瓜生社長は「(運転を)7年間止めていたため『何が起こるか分からない』と言っていたが、現実になってしまい、非常に残念だ」と語ったと報道されています。
「何が起こるか分からない」原発を再稼働させる必要があるのか、疑問に思うばかりです。

弁護士吉野隆二郎

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2018.03.30更新

東京電力の福島第一原子力発電所の事故に対する損害賠償請求の集団訴訟に関する判決になります。国の責任を追及する集団訴訟としては、前橋地裁、千葉地裁、福島地裁、この判決の前日の京都地裁に続く5件目の判決です。
判決は、文部科学省のもとに置かれた地震調査研究推進本部地震調査委員会が平成14年7月31日「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」と題する評価結果(本件長期評価)を公表したことなどをふまえて、東京電力と国の両方について、平成14年中に、本件長期評価から想定される津波について予見する義務があったと判断して、東京電力と国の両方に事故の責任を認めました。
そして、「対外的な賠償責任の面では、被告国の立場が補充的であることを根拠に責任を制限すべきでない」とも判断して、国の責任を制限することも認めず、全額の賠償責任を認めました(前掲の京都地裁も同様)。

http://genpatsu-shutoken.com/blog/archives/687
福島第一原発事故に関して、国が責任を負うという判断の流れが定着してきたように思います。

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2018.03.23更新

東京電力の福島第一原子力発電所の事故に対する損害賠償請求の集団訴訟に関する判決になります。国の責任を追及する集団訴訟としては、前橋地裁、千葉地裁、福島地裁に続く4件目の判決です。
判決では「津波到来の危険が間近に迫っているというような緊急状態ではなかったとはいえ、①地震や津波の経験やそれへの被告国の対応等を通して、防災意識が高まってきた中で、被告国の機関である地震対策本部が、防災対策のためにとりまとめた公式的見解である長期評価の見解によれば、津波到来の危険をある程度具体的に予見することは十分可能であったこと、②原子炉施設は高度な安全性が要求されていること、③予見の内容が自然科学的知見を要するもので、その性質上確実な予測まで期待できないこと、④原子力災害は一旦起きれば取り返しがつかない重大な被害を生じ得ること、⑤権限行使にあたっては被告東電の不利益を考える必要があるものの、権限行使は困難ではなかったこと、⑥被害の防止の措置は一般人ではなしえず、経済産業大臣の権限行使によってしかなし得ないこと、⑦施設周辺の住民を中心とした生命、身体、財産等の具体的利益を保護する電気事業法及び炉規法の各趣旨などによると、どれほど遅くとも、平成18年末時点においては、経済産業大臣は権限行使をすべきであり、そうすれば本件事故を回避できた可能性は高いといえる」と判断して国の責任を認めました。
「原子力災害は一旦起きれば取り返しがつかない重大な被害を生じ得る」ということを正面から受け止めて、国の責任を認めたことは十分に評価できる内容だと思います。

弁護士吉野隆二郎

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2018.03.12更新

福岡県弁護士会が、法律相談センターの対外広報を目的として、天神地下街での無料法律相談会が、3月11日(日)の12時~16時、天神地下街1番街(一番北側)イベントコーナーで行われました。
同様の企画は、過去、2014年3月8日、2015年3月14日、2017年3月4日と3回開催され、今回が4回目の開催となります。
ブースを設けているとはいえ、地下街の人通りの多いところなので、第1回の開催のときには本当に相談に来られる方がいるのか不安もありましたが、毎回多くの相談希望者の方が来られていますので、弁護士会としての相談活動の広報に多少は役に立っているのかと思っております。

http://www.fben.jp/whatsnew/2018/02/post_521.html

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

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