よしの法律事務所コラム

2021.01.14更新

「同一の当事者間に数個の金銭消費貸借契約に基づく各元本債務が存在する場合において,借主が弁済を充当すべき債務を指定することなく全債務を完済するのに足りない額の弁済をしたとき」どのように取り扱われるのかが争われた裁判の最高裁判決となります。
最高裁はそのような場合には「当該弁済は,特段の事情のない限り,上記各元本債務の承認(民法147条3号)として消滅時効を中断する効力を有すると解するのが相当である」として、昭和13年の大審院の判例の判断を維持しました。
その理由は「借主は,自らが契約当事者となっている数個の金銭消費貸借契約に基づく各元本債務が存在することを認識しているのが通常であり,弁済の際にその弁済を充当すべき債務を指定することができるのであって,借主が弁済を充当すべき債務を指定することなく弁済をすることは,特段の事情のない限り,上記各元本債務の全てについて,その存在を知っている旨を表示するものと解される」ことを根拠にしています。
確かに、複数の元本債務がある場合に、どの返済と指定されていない場合に、1つの債務だけの時効が中断し、残りの債務が時効となるというのは、貸している側の不利益が大きいようにも思えますので、結論は妥当なように思います。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89896

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所