よしの法律事務所コラム

2017.01.23更新

1月22日午後に佐賀県弁護士会館で開催された表記シンポジウムを見に行きました。諫早湾干拓事業の影響について、諫早湾内への影響は当然として、有明海に対して及ぼしている影響については様々な考え方があり、開門調査の効果に関しても様々な考え方がありましたが、開門調査を行うことによって漁業に悪影響が及ぶというような意見はありませんでした。フロアからの発言では、漁業者が次々と開門調査の必要性を訴えていました。特に、短期開門調査のときに、諫早湾に「グチ」が戻ってきたという発言が印象的でした。有明海再生のためには、「開門」しかないということを確認できたいい機会でした。

http://www.ariake-gyomin.net/info/161230_160122sympo.html

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2017.01.19更新

昨年9月28日にコメントした辺野古に関する最高裁判決です。
公有水面埋立法4条1項2号の「其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」という要件に関して、「前知事は、関係市町村長及び関係機関からの回答内容や沖縄防衛局からの回答内容を踏まえた上で、本件埋立事業が第2号要件に適合するか否かを専門技術的な知見に基づいて審査し、①護岸その他の工作物の施工、②埋立てに用いる土砂等の性質への対応、③埋立土砂等の採取、運搬及び投入、④埋立てによる水面の陸地化において、現段階で採り得ると考えられる工法、環境保全措置及び対策が講じられており、更に災害防止にも十分配慮されているとして、第2号要件に適合すると判断しているところ、その判断過程及び判断内容に特段不合理な点があることはうかがわれない」と判断しました。
「環境保全」への「十分な配慮」に関する判断が、工法のレベルの議論でまとめられていて、「希少な自然環境を保護する」という観点がうかがえないところが非常に残念に思える判決です。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86358

弁護士吉野隆二郎

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2017.01.10更新

法定地上権が成立するかが争われた事案です。
「地上建物に仮差押えがされ、その後、当該仮差押えが本執行に移行してされた強制競売手続における売却により買受人がその所有権を取得した場合において、土地及び地上建物が当該仮差押えの時点で同一の所有者に属していたときは、その後に土地が第三者に譲渡された結果、当該強制競売手続における差押えの時点では土地及び地上建物が同一の所有者に属していなかったとしても、法定地上権が成立するというべきである」と判示しています。
「地上建物の収去を余儀なくされることによる社会経済上の損失を防止する」という法定地上権(民事執行法81条)の趣旨からは妥当な結論ではないかと思います。

弁護士吉野隆二郎

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2017.01.05更新

本日から、2017年の業務を開始いたしました。開業3年目を迎え福岡市博多区の方を始め多くの方々へリーガルサービスを提供していくため今年も努力して参ります。

 

弁護士吉野隆二郎

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2016.12.28更新

預貯金債権が遺産分割の対象になるかどうかが争われた事案です。
「遺産分割の仕組みは、被相続人の権利義務の承継に当たり共同相続人間の実質的公平を図ることを旨とするものであることから、一般的には、遺産分割においては被相続人の財産をできる限り幅広く対象とすることが望ましく、また、遺産分割手続を行う実務上の観点からは、現金のように、評価についての不確定要素が少なく、具体的な遺産分割の方法を定めるに当たっての調整に資する財産を遺産分割の対象とすることに対する要請も広く存在することがうかがわれる。」「具体的な遺産分割の方法を定めるに当たっての調整に資する財産であるという点においては、本件で問題とされている預貯金が現金に近いものとして想起される。」という預貯金債権に一般的な性質等を前提として述べたうえで、「預貯金一般の性格等を踏まえつつ以上のような各種預貯金債権の内容及び性質をみると、共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となるものと解するのが相当である。 」と判断して 「最高裁平成15年(受)第670号同16年4月20日第三小法廷判決・裁判集民事214号13頁その他上記見解と異なる当裁判所の判例は、いずれも変更すべきである。」と最高裁判例を変更する決定を出しました。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86354
遺産分割実務に関しては非常に重要な判例変更となりますが、相続人間の公平から考えるとこの考え方の方がしっくりくるように思います。

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2016.12.23更新

平素は当事務所をご利用いただき誠にありがとうございます。
誠に勝手ながら、2016年12月28日(水)から2017年1月4日(水)まで年末年始休業とさせていただきます。
ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願い申し上げます。

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2016.12.19更新

厚木基地の自衛隊の航空機の運転の差止め等を求めた事案です。
「行政事件訴訟法37条の4第1項の差止めの訴えの訴訟要件である、処分がされることにより『重大な損害を生ずるおそれ』があると認められるためには、処分がされることにより生ずるおそれのある損害が、処分がされた後に取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではなく、処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであることを要すると解するのが相当である」ということを前提に「自衛隊機の運航により生ずるおそれのある損害は、処分がされた後に取消訴訟等を提起することなどにより容易に救済を受けることができるものとはいえず、本件飛行場における自衛隊機の運航の内容、性質を勘案しても、第1審原告らの自衛隊機に関する主位的請求(運航差止請求)に係る訴えについては、上記の『重大な損害を生ずるおそれ』があると認められる」と判断して、行政訴訟において争う方法については認めました。
しかし、「自衛隊が設置する飛行場における自衛隊機の運航に係る防衛大臣の権限の行使が、行政事件訴訟法37条の4第5項の差止めの要件である、行政庁がその処分をすることがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるときに当たるか否かについては、同権限の行使が、上記のような防衛大臣の裁量権の行使としてされることを前提として、それが社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められるか否かという観点から審査を行うのが相当であり、その検討に当たっては、当該飛行場において継続してきた自衛隊機の運航やそれによる騒音被害等に係る事実関係を踏まえた上で、当該飛行場における自衛隊機の運航の目的等に照らした公共性や公益性の有無及び程度、上記の自衛隊機の運航による騒音により周辺住民に生ずる被害の性質及び程度、当該被害を軽減するための措置の有無や内容等を総合考慮すべきものと考えられる」という判断基準を示したうえで、「自衛隊機の運航には、高度の公共性、公益性がある」こと、自衛隊機の運行に一定の自主規制をしていること、これまでに予算を講じて防音対策をしてきたことなどを根拠に、防衛大臣の権限の行使が「その裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるときに当たるということはできないと解するのが相当である」と判断しました。
行政訴訟として争う方法が認められたとしても、広い行政裁量が認められるのであれば、騒音に苦しむ住民の救済には結びつかないので、残念な判断と言うほかありません。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86315

弁護士吉野隆二郎

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2016.12.12更新

12月4日(日)に開催された表記のフォーラムに参加してきました。
大日方邦子(日本パラリンピアンズ協会副会長)さんが、「パラリンピアンが考えるスポーツの力~2020年、そして未来へ~」というタイトルで基調講演をされました。できないと思ってやらないのではなく、工夫してできるようになることを考えるというようなお話しは、非常に参考になりました。
「スポーツ界における暴力行為根絶に向けて」というパネルディスカッションにおいては、いまだにジュニア世代のスポーツ現場において、暴力行為が行われていることには驚きました。目的を持った適切な指導方法を指導者が学ぶことが重要であるという指摘には考えさせられました。

http://www.japan-sports.or.jp/club/tabid/294/Default.aspx

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2016.12.06更新

12月2日に「2015年9月鬼怒川水害の調査結果報告書の発表に当たり、改めて、ダム依存から脱却し、総合治水及び堤防の強化を求める会長声明」が公表されました。
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2016/161202_2.html
私もこの現地調査に参加させていただきましたが、河川が氾濫してしまってあわてて改修工事をするのではなく、河川の氾濫による被害を最小限に食い止めるためにはどうすべきかという観点への政策転換が求められていると思います。

弁護士吉野隆二郎

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2016.12.01更新

不貞行為によって発生した慰謝料請求権について、免責の有無が争いになった珍しいケースの判例です。
破産法253条1項2号は、非免責債権の1つとして「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」を挙げています。この「悪意で加えた」ということの解釈について、破産法253条1項3号が「破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)」と規定していることや破産法が非免責債権を設けた趣旨及び目的に照らすと、そこでいう「悪意」とは故意を超えた積極的な害意をいうものと解するのが相当である、と判断しました。
そして、それを今回のケースにあてはめて、積極的な害意があったということはできないとして、原告の請求を認めませんでした。
破産法の改正によって、新たに253条1項3号が定められた趣旨からすると、積極的な害意まで必要だという解釈にならざるを得ないと思いますが、考えさせられる判例です。

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所


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