よしの法律事務所コラム

2016.12.01更新

不貞行為によって発生した慰謝料請求権について、免責の有無が争いになった珍しいケースの判例です。
破産法253条1項2号は、非免責債権の1つとして「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」を挙げています。この「悪意で加えた」ということの解釈について、破産法253条1項3号が「破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)」と規定していることや破産法が非免責債権を設けた趣旨及び目的に照らすと、そこでいう「悪意」とは故意を超えた積極的な害意をいうものと解するのが相当である、と判断しました。
そして、それを今回のケースにあてはめて、積極的な害意があったということはできないとして、原告の請求を認めませんでした。
破産法の改正によって、新たに253条1項3号が定められた趣旨からすると、積極的な害意まで必要だという解釈にならざるを得ないと思いますが、考えさせられる判例です。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所


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