よしの法律事務所コラム

2017.12.21更新

12月10日に新潟市内で開催された表記フォーラムに参加してきました。一般社団法人次世代SMILE協会代表理事の杉山芙沙子さんが「子どもの可能性を伸ばすアントラージュ」~スポーツ共育で育む人間力~というタイトルで基調講演をされました。スポーツをする中で、自分で考える力を身につけていくという話はどの分野にも通用する話のように思いました。

http://www.japan-sports.or.jp/club/tabid/294/Default.aspx

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2017.12.14更新

四国電力の伊方原子力発電所の運転の差止めを求めた事案で、全国の高等裁判所で始めて原発の運転の差止めが認められた決定です(平成30年9月30日までという期限がつけられています)。

http://saiban.hiroshima-net.org/karishobun/decision.html
決定では「原子力発電所の立地評価(設計対応不可能な火山事象が原子力発電所の運用期間中に影響を及ぼす可能性の評価)につき、火山ガイド(原子力規制委員会が策定した安全性審査の内規)」では、「火砕流が原子力発電所に到達する可能性が十分小さいと評価できない場合は、原子力発電所の立地は不適となり、当該敷地に原子力発電所を立地することは認められない」と定められているところ、「四国電力が行った伊方原発敷地周辺の地質調査や火砕流シミュレーションからは、阿蘇4噴火の火砕流が伊方原発敷地に到達した可能性が十分小さいと評価することはできない」ことから、「伊方原発の立地は不適であり、伊方原発敷地に原子力発電所を立地することは認められない」と判断しました。
要するに、原子力規制委員会の定めた火山ガイドに反するから、運転が認められないと判断したようです。
新規制基準=安全という考え方には疑問がありますが、新規制基準が守られていないという裁判所の指摘は貴重なもののように思います。
この決定に関して、昨日、日弁連の会長声明も出されています。

https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2017/171213.html

弁護士吉野隆二郎

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2017.12.04更新

改正前の強制わいせつ罪に関して、「強制わいせつ罪が成立するためには、その行為が犯人の性欲を刺戟興奮させまたは満足させるという性的意図のもとに行なわれることを要」するという昭和45年の最高裁判決の解釈が争われた事案であり、最高裁の大法廷で審理がなされたものです。
判決では、最新の法律改正をふまえて「これらの法改正が、性的な被害に係る犯罪やその被害の実態に対する社会の一般的な受け止め方の変化を反映したものであることは明らかである」と述べたうえで、「刑法176条にいうわいせつな行為に当たるか否かの判断を行うためには、行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で、事案によっては、当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し、社会通念に照らし、その行為に性的な意味があるといえるか否かや、その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断せざるを得ないことになる。したがって、そのような個別具体的な事情の一つとして、行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得ることは否定し難い。しかし、そのような場合があるとしても、故意以外の行為者の性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当でなく、昭和45年判例の解釈は変更されるべきである」と結論づけました。
そのうえで、「本件についてみると、第1審判決判示第1の1の行為は、当該行為そのものが持つ性的性質が明確な行為であるから、その他の事情を考慮するまでもなく、性的な意味の強い行為として、客観的にわいせつな行為であることが明らかであり、強制わいせつ罪の成立を認めた第1審判決を是認した原判決の結論は相当である」として、上告を棄却しました。
ややわかりにくいのですが、「性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とする」という解釈は否定されましたが、客観的にわいせつな行為でない場合には「行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得る」とのことですので、判断に迷うケースも出てきそうな気がします。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87256

弁護士吉野隆二郎

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2017.11.29更新

東京地裁では、債権差押えをする際に、申立の日までの遅延損害金を確定金額として記載する取り扱いにしているそうですが、その債権差押えで全額の回収ができずに、再度、債権差押えをする場合に、どのような請求ができるかが争われた事案のようです。
最高裁は、このような東京地裁の取扱い自体は「請求債権の金額を確定することによって、第三債務者自らが請求債権中の遅延損害金の金額を計算しなければ、差押債権者の取立てに応ずべき金額が分からないという事態が生ずることのないようにするための配慮として、合理性を有するものである」と判断しましたが、実際の充当に関しては「本件取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者は、債権差押命令に基づく差押債権の取立てに係る金員の充当の場面では、もはや第三債務者の負担に配慮をする必要がないのであるから、上記金員が支払済みまでの遅延損害金に充当されることについて合理的期待を有していると解するのが相当であり、債権者が本件取扱いに従って債権差押命令の申立てをしたからといって、直ちに申立日の翌日以降の遅延損害金を上記金員の充当の対象から除外すべき理由はないというべきである」と判断して、最初の債権差押え申立日以降の遅延損害金を充当した結果に基づく、再度の債権差押えをすることを認めました。
裁判所の取扱い(運用)によって、判決等で確定した権利が少なくなってしまうというのはやはりおかしい気がするので、この判断は妥当なものだと思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87129

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2017.11.21更新

弁護士法25条1号(弁護士は、次に掲げる事件については、その職務を行つてはならない。1号:相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件)に違反するとして、訴訟行為の排除を求めるという珍しい事案の最高裁の決定となります。
最高裁は、訴訟行為を排除する裁判を求める申立権を相手方は有していることを前提に、不服申立として即時抗告が認められるが、即時抗告の申立をできるのは訴訟代理人の訴訟行為を排除された当事者(依頼者)であって、排除を申し立てられた訴訟代理人は即時抗告の申立はできないと判断しました。
そのうえで、破産管財人から提訴された否認訴訟などにおいて、破産者である会社の破産申立代理人が、否認訴訟などの相手方の訴訟代理人になることは、弁護士法25条に反するとして、排除されるべきものと判断しました。
破産を申立てる代理人には、財産の不当な流出等を防止する義務があると言われており、その観点からすると、否認訴訟などの相手方の訴訟を受任するのは問題だと言われればそのとおりかと思いますが、どのような事件を受任するかについて考えさせられる決定です。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87117

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2017.11.15更新

11月7日から11日までの間に、湿地の保全や利用の取り組みを論議する「第8回アジア湿地シンポジウム」(環境省など主催)が佐賀市内で開催されました。その開催にあわせて11月9日(木)に佐賀市のアバンセの会議室で行われた表記シンポジウム(主催:諫早湾開門研究者会議、有明海漁民・市民ネットワーク、後援:ラムサール・ネットワーク日本)に参加しました。会場は70席ほどの広さでしたが、満員の状態で有明海問題に関する関心の高さがうかがえました。豊かなころの有明海の状況を若い人々に伝えていくことが重要ではないかという意見はそのとおりだと感じました。

アジア湿地シンポ


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2017.11.08更新

県議会の議員の政務活動費の中に使途の基準に違反して支出されたものがあるとして、当該支出をした議員らに不当利得の返還を求める住民訴訟において、住民側が県議会の議長に提出された政務活動費の支出に係る領収書などの資料を、議長の所属する自治体(県)に文書提出命令を申し立てた事案のようです。
自治体は、文書の所持者は議長なので、自治体に提出義務はないとして争ったようです。
最高裁は、地方公共団体は、その機関が保管する文書について、文書提出命令の名宛人となる文書の所持者にあたると判断して、自治体の抗告を棄却しました。
条例では支出の報告資料は議長に提出すると定められているようですが、結局は、県議会の資料の保管場所、すなわち、県の施設の中に保管されている資料なのでしょうし、行政が保管する文書を、単純な名宛人の名義を前提に開示しないことは問題だと思われますので、妥当な判断だと思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87116

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2017.10.26更新

個人情報の外部による漏えいによって精神的な苦痛を被ったとして慰謝料等の損害賠償を求めた事件の最高裁の判決です。
判示によれば、「被上告人のシステムの開発、運用を行っていた会社の業務委託先の従業員であった者が、被上告人のデータベースから被上告人の顧客等に係る大量の個人情報を不正に持ち出したことによって生じたものであり、上記の者は、持ち出したこれらの個人情報の全部又は一部を複数の名簿業者に売却した」という事案において、大阪高裁は「本件漏えいによって、上告人が迷惑行為を受けているとか、財産的な損害を被ったなど、不快感や不安を超える損害を被ったことについての主張、立証がされていない」から請求を認めなかったようです。
これに対して最高裁は、「本件漏えいによって、上告人は、そのプライバシーを侵害された」から、「プライバシーの侵害による上告人の精神的損害の有無及びその程度等について十分に審理することなく、不快感等を超える損害の発生についての主張、立証がされていないということのみから」請求を認めなかったことは、「不法行為における損害に関する法令の解釈適用を誤った結果、上記の点について審理を尽くさなかった違法がある」として、判決を破棄して大阪高裁に差し戻すという判断を示しました。
個人情報の保護について慎重な対応が求められるということを考えさせられる判決です。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87154

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2017.10.19更新

10月18日に公益財団法人日本体育協会の平成29年度公認コーチ等養成研修会の講師をさせていただきました。福岡県体育協会主催のものは過去に何度か経験もあり、テキストも同じでしたので、とどこおりなく講義ができたかと思います。弁護士の立場からは、判例の事例から、スポーツ事故を未然に防止するヒントを少しでも持って帰っていただければと思っております。

弁護士吉野隆二郎

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2017.10.13更新

東京電力の福島原発事故をめぐる集団訴訟において全国で3番目に出された判決となります。
判決では、文部科学省地震調査研究推進本部地震調査委員会が平成14年7月31日に作成した「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」(長期評価)に基づいて、国が直ちにシミュレーションを実施していれば、福島第一原発敷地南側において最大O.P.+15.7mの津波の予見は可能であったことから、平成14年末までに国が東京電力にO.P.+15.7mの津波に対する安全性の確保を命じていれば本件事故は回避可能であったと判断して、国の責任を認めました。9月22日の千葉地裁の判決よりは説得力があるように思います。
その一方で、賠償を認めた金額は、原告2907名の合計4億9795万円+遅延損害金のようです。翌日に東京地裁立川支部で出された横田基地の騒音訴訟では、原告約1000名に対して、約6億1000万円の賠償が認められたようです。単純に比較はできませんが、目に見えないとはいえ放射能による被害への賠償はまだまだ十分ではないように思えます。

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

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