よしの法律事務所コラム

2018.03.30更新

東京電力の福島第一原子力発電所の事故に対する損害賠償請求の集団訴訟に関する判決になります。国の責任を追及する集団訴訟としては、前橋地裁、千葉地裁、福島地裁、この判決の前日の京都地裁に続く5件目の判決です。
判決は、文部科学省のもとに置かれた地震調査研究推進本部地震調査委員会が平成14年7月31日「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」と題する評価結果(本件長期評価)を公表したことなどをふまえて、東京電力と国の両方について、平成14年中に、本件長期評価から想定される津波について予見する義務があったと判断して、東京電力と国の両方に事故の責任を認めました。
そして、「対外的な賠償責任の面では、被告国の立場が補充的であることを根拠に責任を制限すべきでない」とも判断して、国の責任を制限することも認めず、全額の賠償責任を認めました(前掲の京都地裁も同様)。

http://genpatsu-shutoken.com/blog/archives/687
福島第一原発事故に関して、国が責任を負うという判断の流れが定着してきたように思います。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2018.03.23更新

東京電力の福島第一原子力発電所の事故に対する損害賠償請求の集団訴訟に関する判決になります。国の責任を追及する集団訴訟としては、前橋地裁、千葉地裁、福島地裁に続く4件目の判決です。
判決では「津波到来の危険が間近に迫っているというような緊急状態ではなかったとはいえ、①地震や津波の経験やそれへの被告国の対応等を通して、防災意識が高まってきた中で、被告国の機関である地震対策本部が、防災対策のためにとりまとめた公式的見解である長期評価の見解によれば、津波到来の危険をある程度具体的に予見することは十分可能であったこと、②原子炉施設は高度な安全性が要求されていること、③予見の内容が自然科学的知見を要するもので、その性質上確実な予測まで期待できないこと、④原子力災害は一旦起きれば取り返しがつかない重大な被害を生じ得ること、⑤権限行使にあたっては被告東電の不利益を考える必要があるものの、権限行使は困難ではなかったこと、⑥被害の防止の措置は一般人ではなしえず、経済産業大臣の権限行使によってしかなし得ないこと、⑦施設周辺の住民を中心とした生命、身体、財産等の具体的利益を保護する電気事業法及び炉規法の各趣旨などによると、どれほど遅くとも、平成18年末時点においては、経済産業大臣は権限行使をすべきであり、そうすれば本件事故を回避できた可能性は高いといえる」と判断して国の責任を認めました。
「原子力災害は一旦起きれば取り返しがつかない重大な被害を生じ得る」ということを正面から受け止めて、国の責任を認めたことは十分に評価できる内容だと思います。

弁護士吉野隆二郎

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2018.03.12更新

福岡県弁護士会が、法律相談センターの対外広報を目的として、天神地下街での無料法律相談会が、3月11日(日)の12時~16時、天神地下街1番街(一番北側)イベントコーナーで行われました。
同様の企画は、過去、2014年3月8日、2015年3月14日、2017年3月4日と3回開催され、今回が4回目の開催となります。
ブースを設けているとはいえ、地下街の人通りの多いところなので、第1回の開催のときには本当に相談に来られる方がいるのか不安もありましたが、毎回多くの相談希望者の方が来られていますので、弁護士会としての相談活動の広報に多少は役に立っているのかと思っております。

http://www.fben.jp/whatsnew/2018/02/post_521.html

弁護士吉野隆二郎

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2018.02.28更新

表記タイトルの講演会が、2月24日(土)の13時30分から諫早市民センターで行われました。講演者のキムギョンチョル(金敬哲)さんは、NGO「湿地の鳥たちの仲間」の保全局長をされているとのことで、釜山市を流れる洛東江河口堰の開門のための活動もされているとのことでした。河口を堰で締め切ったことによって、川の水質が悪化するとともに、河口の干潟が失われたことからシジミなどの魚介類に獲れなくなるなど、自然環境に大きな影響が与えられているようです。その環境を改善するために、河口堰を部分的に開けて海水交換をして、水質の改善や漁業資源の回復を図ろうという取組のようです。現在、岐阜県の長良川河口堰でも同様の問題が生じているようですが、諫早湾干拓の問題とも比較できる話だなと感じました。部分的に開けることによる塩分増加の影響についてシミュレーションがなされているようですが、シミュレーションはあくまでシミュレーションに過ぎず、実際に一部開放してみてその影響を調査することに意義があるのだという話は、シミュレーションを盾にとって開門しようとしない農林水産省の姿勢と比べて、環境保護に関する考え方が進んでいると感じました。

弁護士吉野隆二郎

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キムギョンチョル

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2018.02.16更新

マンション管理組合の理事長の地位に関する紛争の判例です。
管理規約では、「理事及び監事は、組合員のうちから総会で選任」し、「理事長及び副理事長等は、理事の互選により選任」すると定める一方で、「役員の選任及び解任については、総会の決議を経なければならない」と定められているところ、「理事の過半数の一致により理事長の職を解き、別の理事を理事長に定めること」ができるかが争われた事案のようです。
最高裁は「理事長を理事が就く役職の1つと位置付けた上、総会で選任された理事に対し、原則として、その互選により理事長の職に就く者を定めることを委ねるものと解される。そうすると、このような定めは、理事の互選により選任された理事長について理事の過半数の一致により理事長の職を解き、別の理事を理事長に定めることも総会で選任された理事に委ねる趣旨と解するのが、本件規約を定めた区分所有者の合理的意思に合致するというべきである」と判断して、理事の過半数による理事長の職を解くことを認めました。
理事の選任は理事の過半数で決められるのに、一度理事長を決めてしまうと、総会で理事を解任しない限り、理事長が交代できないというのは、バランスも悪いように思えますので、妥当な結論ではないかと思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87311

弁護士吉野隆二郎

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2018.02.09更新

外れ馬券の購入代金が必要経費に該当するかが争われた事案の最高裁判決になります。「所得税法上、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得で、営利を目的とする継続的行為から生じた所得は、一時所得ではなく雑所得に区分される」ことから、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」と言えるか、「外れ馬券の購入が経費になるか」などが争点となったようです。
最高裁はまず「被上告人は、予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って馬券を購入することとし、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入することを目標として、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら、6年間にわたり、1節当たり数百万円から数千万円、1年当たり合計3億円から21億円程度となる多数の馬券を購入し続けたというのである。このような被上告人の馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様に照らせば、被上告人の上記の一連の行為は、継続的行為といえる」と述べて「継続的行為」であることを認めました。
次に「被上告人は、上記6年間のいずれの年についても年間を通じての収支で利益を得ていた上、その金額も、少ない年で約1800万円、多い年では約2億円に及んでいたというのであるから、上記のような馬券購入の態様に加え、このような利益発生の規模、期間その他の状況等に鑑みると、被上告人は回収率が総体として100%を超えるように馬券を選別して購入し続けてきたといえるのであって、そのような被上告人の上記の一連の行為は、客観的にみて営利を目的とするものであったということができる」と述べて「営利の目的」があることも認めました。
そして「被上告人は、偶然性の影響を減殺するために長期間にわたって多数の馬券を頻繁に購入することにより、年間を通じての収支で利益が得られるように継続的に馬券を購入しており、そのような一連の馬券の購入により利益を得るためには、外れ馬券の購入は不可避であったといわざるを得ない。したがって、本件における外れ馬券の購入代金は、雑所得である当たり馬券の払戻金を得るため直接に要した費用として、同法37条1項にいう必要経費に当たると解するのが相当である」と述べて「経費性」も認めました。
この判例を読む限りでは、かなりの金額を使った継続的な馬券の購入なので、かなりレアケースの事案だと考えられ、外れ馬券の購入が一般的に経費になるかと言われると何とも言えないところではないかと思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87308

弁護士吉野隆二郎

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2018.01.25更新

表記タイトルのシンポジウムが、1月20日に福岡市内で九州弁護士会連合会と福岡県弁護士会の共催で開催されました。

http://www.fben.jp/whatsnew/2017/12/post_512.html
特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏の基調講演において、世界では風力・太陽光がより安価になり、全世界の発電量に占める割合が増え続けていて、10年には太陽光が化石燃料発電を越える可能性があることや、こうした風力・太陽光発電の増大を受けて、世界では電力需給調整の基本的発想が、旧来の「ベースロード」電源確保から、「フレキシビリティ」へと転換し、柔軟な需給調整をいかに行うかが重要視されるようになっているということなどをお話しいただき、日本が世界の中でも遅れていることが実感できました。

再エネシンポ

弁護士吉野隆二郎

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2018.01.17更新

自動車の所有者名義が販売会社、使用者名義が購入者の場合において、販売会社の売買代金債権の保証人が保証債務を履行した後に購入者が破産した場合に当該自動車がどのように扱われるのかが争われた事案に関する判断です。
最高裁は、「自動車の購入者と販売会社との間で当該自動車の所有権が売買代金債権を担保するため販売会社に留保される旨の合意がされ、売買代金債務の保証人が販売会社に対し保証債務の履行として売買代金残額を支払った後、購入者の破産手続が開始した場合において、その開始の時点で当該自動車につき販売会社を所有者とする登録がされているときは、保証人は、上記合意に基づき留保された所有権を別除権として行使することができるものと解するのが相当である」と判断して、保証債務を履行した保証人からの自動車の引き渡し請求を認めた判断を支持しました。その理由としては、保証債務の履行の結果として法律上当然に所得した求償権の範囲で留保所有権を行使できることや、販売会社を所有者とする登録がされている自動車については、所有権が留保されていることは予測し得ることなどが挙げられています。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87283
破産手続において、販売会社名義のままの自動車の取扱については、1つのパターンで解決策が示されたので、悩ましい問題が少し減ったのかなと思います。

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2018.01.05更新

本日から、2018年の業務を開始いたしました。4月には弁護士20年目に突入します。福岡市博多区の方を始め多くの方々へリーガルサービスを提供していくため今年も努力して参ります。

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2017.12.28更新

平素は当事務所をご利用いただき誠にありがとうございます。
誠に勝手ながら、2017年12月28日(木)から2018年1月4日(木)まで年末年始休業とさせていただきます。
ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願い申し上げます。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

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