よしの法律事務所コラム

2017.11.15更新

11月7日から11日までの間に、湿地の保全や利用の取り組みを論議する「第8回アジア湿地シンポジウム」(環境省など主催)が佐賀市内で開催されました。その開催にあわせて11月9日(木)に佐賀市のアバンセの会議室で行われた表記シンポジウム(主催:諫早湾開門研究者会議、有明海漁民・市民ネットワーク、後援:ラムサール・ネットワーク日本)に参加しました。会場は70席ほどの広さでしたが、満員の状態で有明海問題に関する関心の高さがうかがえました。豊かなころの有明海の状況を若い人々に伝えていくことが重要ではないかという意見はそのとおりだと感じました。

アジア湿地シンポ


弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2017.11.08更新

県議会の議員の政務活動費の中に使途の基準に違反して支出されたものがあるとして、当該支出をした議員らに不当利得の返還を求める住民訴訟において、住民側が県議会の議長に提出された政務活動費の支出に係る領収書などの資料を、議長の所属する自治体(県)に文書提出命令を申し立てた事案のようです。
自治体は、文書の所持者は議長なので、自治体に提出義務はないとして争ったようです。
最高裁は、地方公共団体は、その機関が保管する文書について、文書提出命令の名宛人となる文書の所持者にあたると判断して、自治体の抗告を棄却しました。
条例では支出の報告資料は議長に提出すると定められているようですが、結局は、県議会の資料の保管場所、すなわち、県の施設の中に保管されている資料なのでしょうし、行政が保管する文書を、単純な名宛人の名義を前提に開示しないことは問題だと思われますので、妥当な判断だと思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87116

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2017.10.26更新

個人情報の外部による漏えいによって精神的な苦痛を被ったとして慰謝料等の損害賠償を求めた事件の最高裁の判決です。
判示によれば、「被上告人のシステムの開発、運用を行っていた会社の業務委託先の従業員であった者が、被上告人のデータベースから被上告人の顧客等に係る大量の個人情報を不正に持ち出したことによって生じたものであり、上記の者は、持ち出したこれらの個人情報の全部又は一部を複数の名簿業者に売却した」という事案において、大阪高裁は「本件漏えいによって、上告人が迷惑行為を受けているとか、財産的な損害を被ったなど、不快感や不安を超える損害を被ったことについての主張、立証がされていない」から請求を認めなかったようです。
これに対して最高裁は、「本件漏えいによって、上告人は、そのプライバシーを侵害された」から、「プライバシーの侵害による上告人の精神的損害の有無及びその程度等について十分に審理することなく、不快感等を超える損害の発生についての主張、立証がされていないということのみから」請求を認めなかったことは、「不法行為における損害に関する法令の解釈適用を誤った結果、上記の点について審理を尽くさなかった違法がある」として、判決を破棄して大阪高裁に差し戻すという判断を示しました。
個人情報の保護について慎重な対応が求められるということを考えさせられる判決です。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87154

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2017.10.19更新

10月18日に公益財団法人日本体育協会の平成29年度公認コーチ等養成研修会の講師をさせていただきました。福岡県体育協会主催のものは過去に何度か経験もあり、テキストも同じでしたので、とどこおりなく講義ができたかと思います。弁護士の立場からは、判例の事例から、スポーツ事故を未然に防止するヒントを少しでも持って帰っていただければと思っております。

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2017.10.13更新

東京電力の福島原発事故をめぐる集団訴訟において全国で3番目に出された判決となります。
判決では、文部科学省地震調査研究推進本部地震調査委員会が平成14年7月31日に作成した「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」(長期評価)に基づいて、国が直ちにシミュレーションを実施していれば、福島第一原発敷地南側において最大O.P.+15.7mの津波の予見は可能であったことから、平成14年末までに国が東京電力にO.P.+15.7mの津波に対する安全性の確保を命じていれば本件事故は回避可能であったと判断して、国の責任を認めました。9月22日の千葉地裁の判決よりは説得力があるように思います。
その一方で、賠償を認めた金額は、原告2907名の合計4億9795万円+遅延損害金のようです。翌日に東京地裁立川支部で出された横田基地の騒音訴訟では、原告約1000名に対して、約6億1000万円の賠償が認められたようです。単純に比較はできませんが、目に見えないとはいえ放射能による被害への賠償はまだまだ十分ではないように思えます。

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2017.09.28更新

大分県の教員採用試験において不正が行われたことから、その不正によって不合格となった受験者らに対して大分県が損害賠償金を支払ったところ、大分県の住民らが県知事に対して、不正に関与した者たちに求償権を行使しないことの違法の確認などを求める住民訴訟を提訴しました。その最高裁の判決となります。
最高裁は、請求を認めなかった高裁判決の一部を破棄して、福岡高裁に差し戻しました。破棄した部分は、退職金を受け取った後に、不正が発覚して退職金の返納命令によって退職金相当額が回収されたことが求償権の行使に影響を及ぼすのかという論点の部分です。不正に関与した者で在職中の者は、いずれも懲戒免職となり、退職金も支給されなかったようです。そうすると、本来支払われるべきでなかった退職金の返還を受けたにすぎないのですから、それが求償権を行使しなくていい理由にならないというのはそのとおりだろうと思います。その一方で、この部分しか破棄しておらず、県教委の幹部職員からの寄付金については、求償権を行使しない根拠として認めました。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87074

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2017.09.23更新

東京電力の福島原発事故をめぐる集団訴訟において全国で2番目に出された判決となります。
裁判所は、「経済産業大臣は、・・・被告東電に対し、津波による浸水から全交流電源喪失を回避するための措置を講ずるように命ずべき規制権限を有しており、遅くとも平成18年までに敷地高さO.P.+10mを超える津波が発生することを予見できたというべきである」と被告である国に津波の発生を予測できたことを認定しました。しかし、「その予見可能性の程度及び当時の知見からすると、本件事故後と同様の規制措置を講ずべき作為義務が一義的に導かれるとはいえず、また、原告ら主張の各結果回避措置を採ったとしても、本件事故を回避できなかった可能性もあり、同年の時点で、同権限を行使しなかったことは、許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くとは認められ」ないと結果の回避ができなかった可能性があるなどとして、国の責任を否定しました。
伊方原発に関する平成4年10月19日の最高裁判決は、当時の原子炉等規制法に関して「原子炉が原子核分裂の過程において高エネルギーを放出する核燃料物質を燃料として使用する装置であり、その稼働により、内部に多量の人体に有害な放射性物質を発生させるものであって、原子炉を設置しようとする者が原子炉の設置、運転につき所定の技術的能力を欠くとき、又は原子炉施設の安全性が確保されないときは、当該原子炉施設の従業員やその周辺住民等の生命、身体に重大な危害を及ぼし、周辺の環境を放射能によって汚染するなど、深刻な災害を引き起こすおそれがあることにかんがみ、右災害が万が一にも起こらないようにするため、原子炉設置許可の段階で、原子炉を設置しようとする者の右技術的能力並びに申請に係る原子炉施設の位置、構造及び設備の安全性につき、科学的、専門技術的見地から、十分な審査を行わせることにあるものと解される」と判断しました。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54276
原発事故による災害が「万が一にも起こらないようにするため」の対応が必要であったはずなのに、津波を予見できたにもかかわらず、対策不可能だったとでも言うような判決の判断には説得力がないように思います。

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2017.09.15更新

水俣病に関する最高裁の判決です。確定判決によってチッソから損害賠償を受け取った原告が、水俣病の特措法によって、水俣病の認定を受けた者とみなされることになったことから、熊本県知事に対し、公健法25条1項の規定に基づく障害補償費の支給を請求した事案です。
福岡高裁は「公健法13条1項は、損害が塡補された場合、その価額の限度で補償給付を支給する義務を免れると規定するにとどまり、補償給付の額及び損害の塡補額を考慮することなく、およそ補償給付の支給義務が免除されるとは定めていない。また、同法に基づく補償給付の制度は、純粋な損害塡補以外の社会保障的な要素を含むものと解されるから、前訴確定判決に基づく賠償金をチッソが完済したことによって熊本県知事が当然に当該補償給付の支給義務を全て免れると解することもできない」として不支給処分を取り消していました。
最高裁は水俣病の補償の仕組みを前提に「同法4条2項の認定を受けた疾病による健康被害に係る損害の全てが塡補されている場合には、もはや同法に基づく障害補償費の支給によって塡補されるべき損害はないというべきであるから、都道府県知事は、同項の認定を受けた者が、当該認定に係る疾病による健康被害について原因者に対する損害賠償請求訴訟を提起して判決を受け、これにより確定された民事上の損害賠償義務の全ての履行を既に受けている場合には、同法に基づく障害補償費の支給義務の全てを免れると解するのが相当である」と判断して、福岡高裁の判決を取り消して、請求を認めませんでした。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87053
水俣病の被害者への救済の観点からすると、社会保障的な要素も障害補償費の支給を認めるという考え方も十分に説得力があるように思えます。
水俣病特措法第3条において「この法律による救済及び水俣病問題の解決は、継続補償受給者等に対する補償が確実に行われること、救済を受けるべき人々があたう限りすべて救済されること及び関係事業者が救済に係る費用の負担について責任を果たすとともに地域経済に貢献することを確保することを旨として行われなければならない」と定められていることとの関係をどう考えればいいのか、考えさせられる判決になります。

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2017.09.08更新

3才の幼稚園児がプールでおぼれて亡くなったという事案の判決です。
判決では「担任として、園児を監視し、その生命身体の安全に配慮すべき義務があったにもかかわらず、本件事故当時、プールサイドに散乱したビート板・遊具の片付けに気を取られ、本件プール内の園児の動静を注視せず、この義務を怠ったという被告(担任)の過失がなければ、本件事故が生じなかったことは明らかであ」ると判断し、さらに園長及び学校法人にも連帯責任を認めました。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=86767
本件は、平成23年7月11日に生じた事件ですが、報道によれば、今年の8月24日にも、さいたま市で4才のこどもがプールの事故で亡くなるという同じような悲しい事故が繰り返されているようです。
危険だからプール遊びはやらないという考え方はどうかと思いますが、幼稚園や保育園でのプール遊びには、細心の注意が必要だということを考えさせられる判決です。

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2017.08.31更新

超党派の国会議員でつくる「公共事業チェック議員の会」の国会議員5名が、8月28日~29日にかけて、諫早湾干拓事業の現場を視察に来られました。私は、漁業者との懇談会の現場に参加しました。
2名の20代の若手が、漁業後継者としてがんばろうという決意を述べてくれたことが心強く感じられました。
同会の事務局長の初鹿明博衆院議員が、確定判決をなかったことにしようとしている今の農林水産省の方針に道理がないので、国会で諫早湾の問題を議論していきたいという趣旨の発言をされたことも心強く感じられました。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

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