よしの法律事務所コラム

2018.02.09更新

外れ馬券の購入代金が必要経費に該当するかが争われた事案の最高裁判決になります。「所得税法上、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得で、営利を目的とする継続的行為から生じた所得は、一時所得ではなく雑所得に区分される」ことから、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」と言えるか、「外れ馬券の購入が経費になるか」などが争点となったようです。
最高裁はまず「被上告人は、予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って馬券を購入することとし、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入することを目標として、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら、6年間にわたり、1節当たり数百万円から数千万円、1年当たり合計3億円から21億円程度となる多数の馬券を購入し続けたというのである。このような被上告人の馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様に照らせば、被上告人の上記の一連の行為は、継続的行為といえる」と述べて「継続的行為」であることを認めました。
次に「被上告人は、上記6年間のいずれの年についても年間を通じての収支で利益を得ていた上、その金額も、少ない年で約1800万円、多い年では約2億円に及んでいたというのであるから、上記のような馬券購入の態様に加え、このような利益発生の規模、期間その他の状況等に鑑みると、被上告人は回収率が総体として100%を超えるように馬券を選別して購入し続けてきたといえるのであって、そのような被上告人の上記の一連の行為は、客観的にみて営利を目的とするものであったということができる」と述べて「営利の目的」があることも認めました。
そして「被上告人は、偶然性の影響を減殺するために長期間にわたって多数の馬券を頻繁に購入することにより、年間を通じての収支で利益が得られるように継続的に馬券を購入しており、そのような一連の馬券の購入により利益を得るためには、外れ馬券の購入は不可避であったといわざるを得ない。したがって、本件における外れ馬券の購入代金は、雑所得である当たり馬券の払戻金を得るため直接に要した費用として、同法37条1項にいう必要経費に当たると解するのが相当である」と述べて「経費性」も認めました。
この判例を読む限りでは、かなりの金額を使った継続的な馬券の購入なので、かなりレアケースの事案だと考えられ、外れ馬券の購入が一般的に経費になるかと言われると何とも言えないところではないかと思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87308

弁護士吉野隆二郎

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