よしの法律事務所コラム

2022.05.31更新

建物の共有持分権に関して、町内会の間の訴訟のようです。原審は、「権利能力のない社団である上告人が所有権等の主体となることはできない」として、本件請求を棄却したようです。
最高裁は、「権利能力のない社団がその名において取得した資産は、その構成員全員に総有的に帰属するものである」という最高裁の法理を前提に、「本件請求については、本件建物の共有持分権が上告人の構成員全員に総有的に帰属することの確認を求める趣旨に出るものであると解する余地が十分にあり、原審は、上記共有持分権が上告人自体に帰属することの確認を求めるものであるとしてこれを直ちに棄却するのではなく、上告人に対し、本件請求が上記趣旨に出るものであるか否かについて釈明権を行使する必要があったといわなければならない」として、原審に釈明権の行使を怠った違法があるとして、判決を破棄して東京高裁に差し戻しました。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91095
「本件建物をその3町内会の共有とする旨の合意」の有無が主たる争点だった事案のようで、形式的な当事者能力の問題で棄却するのはどうかと思われるので、妥当か結論ではないかと思います。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所


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