よしの法律事務所コラム

2019.10.29更新

請求異議訴訟で最高裁まで争いになった事案になります。
貸金債権に基づく公正証書によって、債務者の貯金(ゆうちょ銀行)に差し押さえがなされましたが、その差し押さえが存在することによって、時効中断の効力があったのかが争点となったようです。具体的には、民法第155条には「差押え、仮差押え及び仮処分は、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、時効の中断の効力を生じない」と定められています。この条文の解釈が争いになりました。
最高裁は「民法155条は、差押え等による時効中断の効力が中断行為の当事者及びその承継人に対してのみ及ぶとした同法148条の原則を修正して差押え等による時効中断の効力を当該中断行為の当事者及びその承継人以外で時効の利益を受ける者に及ぼす場合において、その者が不測の不利益を被ることのないよう、その者に対する通知を要することとした規定であると解され(最高裁昭和47年(オ)第723号同50年11月21日第二小法廷判決・民集29巻10号1537頁参照)、差押え等による時効中断の効力を当該中断行為の当事者又はその承継人に生じさせるために、その者が当該差押え等を了知し得る状態に置かれることを要するとする趣旨のものであると解することはできない。しかるところ、債権執行における差押えによる請求債権の消滅時効の中断において、その債務者は、中断行為の当事者にほかならない。したがって、上記中断の効力が生ずるためには、その債務者が当該差押えを了知し得る状態に置かれることを要しないと解するのが相当である」と判断しました。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88922
差し押さえがなされていることを、債務者が知らなくても、時効は中断するということなので、一見、債務者に酷なようにも思えますが、逆に、債務者が所在をわからないようにしている場合に、債務者が通知を受け取っていないと時効が中断しないということの方が逃げ得を認めることになってしまいますので、その両者のバランスを考えると妥当な判断だと思います。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所