よしの法律事務所コラム

2017.06.20更新

玄海原子力発電所の3号機及び4号機の差し止めを求めた仮処分を却下した決定です。決定では、原子力の規制に関して「とりわけ、福島第一原発事故の深い反省に立ち、その教訓をいかしてそのような事故を二度と起こさないようにするとともに、我が国の原子力の安全に関する行政に対する損なわれた信頼を回復し、当該行政の機能の強化を図るため」に行った改正であり、「このような本件改正後の原子炉等規制法における規制の目的及び趣旨からすれば、改正原子炉等規制法は、最新の科学的、技術的知見を踏まえた合理的に予測される規模の自然災害を想定した発電用原子炉施設の安全性の確保を求めるものと解されるのであって、改正原子炉等規制法の規制の在り方には、我が国の自然災害に対する発電用原子炉施設等の安全性についての社会通念が反映しているというべきである」と判断しています。
しかし、原子力規制委員会の田中俊一委員長は記者会見において、規制の数値目標に関して「もちろん数値目標は大事ですけれども、そのことで、では国民が納得しているかというと、必ずしもそれはそうではないので、そこのところは、安全目標というのは決して国民と我々が合意して作った値ではないということだけは御理解いただかないといけないと思うのです」と目標値が国民の合意によってできたものでないという発言をされています。また、原子力規制委員会の基準を充たせば安全なのかという質問に対して「安全審査ではなくて、基準の適合性を審査したということです。ですから、これも再三お答えしていますけれども、基準の適合性は見ていますけれども、安全だということは私は申し上げませんということをいつも、国会でも何でも、何回も答えてきたところです」と基準に適合しても安全を担保するものでもないという発言もされています。
そうであるにもかかわらず、裁判所が規制基準について「安全性についての社会通年が反映されている」と判断することには違和感を覚えます。
また、配管の安全性に関して「あえて炉心を損傷させるような評価条件を定めて評価しても、福島第一原発事故後新たに設置した設備が機能し、原子炉格納容器が破損するには至らないことが確認されているのであり、仮に、炉心溶融が生じたとしても、そのことから直ちに原子炉容器及び原子炉格納容器が破損するおそれがあるとも認め難い」という判断は、安全神話の復活を思わせるもので、それで本当に安全なのかの疑念はぬぐえません。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=86841

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所