よしの法律事務所コラム

2017.05.30更新

県立高校における武道大会の柔道競技において試合中に頭を打って頸髄損傷による両上肢機能障害及び両下肢体幹機能障害が残った事案です。
判決では「前年度の武道大会の柔道競技中に起きた2件の事故について、J高校内で事故の調査、原因分析や予防策を具体的に協議し、その結果を踏まえて安全指導対策を行い、大会のルールや環境を改善するなどした形跡がな」いことなどから、「生徒らに対し、本件大会に固有の内在的な危険性について実効的な指導ができていたものとは認めらないのであって、本件大会を実施するに相応しい十分な安全指導を含む適切な準備が大会前に整っていたとは認めることができないものというほかな」く「本件大会の開催を中止せず、例年に倣って漫然とこれを開催したこと」には「過失がある」と判断されました。
スポーツ指導者に対する研修の講師をした経験から、柔道事故の事例が多いことは知っていましたが、高校の武道大会でそのような重大な事故が発生していることは残念に思います。事故の原因分析や予防策の検討が重要なことを思い知らされる判例だと思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=86727

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所


SEARCH


ARCHIVE


CATEGORY