よしの法律事務所コラム

2017.02.28更新

法律の改正によって新設された割賦販売法35条の3の13第1項6号の解釈に関する最高裁の判決です。
判決は「特に訪問販売においては、販売業者の不当な勧誘行為により購入者の契約締結に向けた意思表示に瑕疵が生じやすいことから、購入者保護を徹底させる趣旨で、訪問販売によって売買契約が締結された個別信用購入あっせんについては、消費者契約法4条及び5条の特則として、販売業者が立替払契約の締結について勧誘をするに際し、契約締結の動機に関するものを含め、立替払契約又は売買契約に関する事項であって購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものについて不実告知をした場合には、あっせん業者がこれを認識していたか否か、認識できたか否かを問わず、購入者は、あっせん業者との間の立替払契約の申込みの意思表示を取り消すことができることを新たに認めたものと解される」と改正法の趣旨の解釈を示しました。
そして、「立替払契約が購入者の承諾の下で名義貸しという不正な方法によって締結されたものであったとしても、それが販売業者の依頼に基づくものであり、その依頼の際、契約締結を必要とする事情、契約締結により購入者が実質的に負うこととなるリスクの有無、契約締結によりあっせん業者に実質的な損害が生ずる可能性の有無など、契約締結の動機に関する重要な事項について販売業者による不実告知があった場合には、これによって購入者に誤認が生じ、その結果、立替払契約が締結される可能性もあるといえる。このような経過で立替払契約が締結されたときは、購入者は販売業者に利用されたとも評価し得るのであり、購入者として保護に値しないということはできないから、割賦販売法35条の3の13第1項6号に掲げる事項につき不実告知があったとして立替払契約の申込みの意思表示を取り消すことを認めても、同号の趣旨に反するものとはいえない」という判断枠組みを示しました。
そのうえで、「名義貸しを行うのは、ローンを組めない高齢者等の人助けのための契約締結であり、上記高齢者等との売買契約や商品の引渡しは実在すること」を告げた上で、「支払については責任をもってうちが支払うから、絶対に迷惑は掛けない。」などの告知の内容が、「契約締結の動機に関する重要な事項に当たるもの」と判断した上で、割賦販売法35条の3の13第1項6号にいう「購入者の判断に影響を
及ぼすこととなる重要なもの」に該当すると判断しました。
消費者保護の観点からすれば、妥当な判断のように思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86517

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所


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