よしの法律事務所コラム

2017.02.13更新

過去の逮捕歴について、居住する県の名称との氏名を条件として検索すると、検索結果として提供される状態になっていることからその削除を求めた仮処分の最高裁の決定です。削除するための基準を示した最初の最高裁の決定のようです。
決定では「検索事業者が、ある者に関する条件による検索の求めに応じ、その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは、当該事実の性質及び内容、当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度、その者の社会的地位や影響力、上記記事等の目的や意義、上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化、上記記事等において当該事実を記載する必要性など、当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので、その結果、当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対し、当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である」と述べています。
このような比較衡量の判断基準は、民事の差し止めや、厚木訴訟(12月19日付け本ブログ)と同様のものであり、結局は、様々な事情を主張立証していくしかないように思えます。本件では、犯罪の類型が社会的な非難が強いものであることと、居住する県と名前が一致しないと検索できないことを重視しているように思いますが、本件の解決としてこの判断でよかったのかは、詳しい事実関係が分からないと何とも言えないように思います。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所


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