よしの法律事務所コラム

2016.11.07更新

東日本大震災の津波で犠牲になった石巻市大川小の児童の遺族が宮城県と石巻市に賠償を求めた裁判の判決です。宮城県と石巻市は本日控訴手続きを行ったようです。
新聞などに掲載されていた判決の要旨によれば、「広報車の呼び掛けを聞いた段階では、程なく津波が襲来すると予見、認識できた。地震は経験したことがない規模で、ラジオで伝えられた予想津波⾼は6〜10メートル。大川小の標高は1〜1.5メートルしかなく、教員らは遅くともこの時点で、可能な限り津波を回避できる場所に児童を避難させる注意義務を負った。」「移動先として目指した交差点付近は標高7メートル余りしかなく、津波到達時にさらに避難する場所がない。現実に大津波到来が予期される中、避難場所として不適当だった。」「一方、裏山は津波から逃れる十分な高さの標高10メートル付近に達するまで、校庭から百数十メートル移動する必要があったが、原告らの実験では、移動は徒歩で2分程度、小走りで1分程度だった。斜面の傾斜が20度を上回る場所はあるが、児童はシイタケ栽培の学習などで登っていた。避難場所とする支障は認められない。」「被災が回避できる可能性が高い裏山ではなく、交差点付近に移動しようとした結果、児童らが死亡した。教員らには結果回避義務違反の過失がある。」と判断されています。
大津波の到来までの限られた時間でどのような避難を選択すべきだったのかは、なかなか判断が難しい事案のように思われ、判決の全文を判例誌などで読んでみたい気がします。結果論という意見もあるようですが、今後も生じうる震災の際にどのように行動すべきかについて考えさせられる裁判だと思います。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所