よしの法律事務所コラム

2017.05.01更新

小学4年生が校外学習として行われた健康施設の流水プールにおいける遊泳に参加した際にプール内でおぼれて亡くなったという事案のようです。
「被告らは, 担当教諭らがヘルストピアのプールにおける監視体制を万全にし, 児童の安全を図るべく十分に注視する義務を怠った過失があること、I校長が本件校外学習について事前対策を十分に検討し,校長として指導監督すべき義務を怠った過失があること,及び被告らに賠償責任があることをいずれも自認するところである」ことが争いのない事実として整理されており、県と市が賠償責任を負うこと自体については争いがなかったようです。
責任原因に争いがないのであれば、わざわざ訴訟にまでなる必要もなかった事案のように思いますが、判決をよく読むと、原告側は、教育委員会宛の報告書に事実と異なる記載があったことや、教育長が施設への責任を押し付けるような発言をしたことなどを問題にされていたようです。判決文だけなので、この内容からは何が真実かは分かりませんが、遺族の感情に配慮して、誠実に事実を報告していれば、裁判までには至らなかったようにも思います。そのような観点からも、考えさせられる判例です。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所


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