よしの法律事務所コラム

2018.12.19更新

いわゆる「振り込め詐欺」の新しい犯行態様なのですが、現金を入れた荷物を宅配便で発送させて、それを荷受人になりすまして受け取る役割を果たした者が、詐欺罪の共謀共同正犯になるのかが争われた事案となります。
最高裁は、無罪とした高裁判決を破棄して、有罪と判断しました。
その理由としては「被告人は、異なる場所で異なる名宛人になりすまして同様の受領行為を多数回繰り返し、1回につき約1万円の報酬等を受け取っており、被告人自身、犯罪行為に加担していると認識していたことを自認している。以上の事実は、荷物が詐欺を含む犯罪に基づき送付されたことを十分に想起させるものであり、本件の手口が報道等により広く社会に周知されている状況の有無にかかわらず、それ自体から、被告人は自己の行為が詐欺に当たる可能性を認識していたことを強く推認させるものというべきである」ことを前提に「被告人は、自己の行為が詐欺に当たるかもしれないと認識しながら荷物を受領したと認められ、詐欺の故意に欠けるところはなく、共犯者らとの共謀も認められる」と判断しました。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88179
現金を詐取された被害者の心情を考えれば、そのような受取行為に関与すること自体の処罰の必要性が高いことはよく分かります。
しかし、詐欺罪は、財物に対する犯罪なので、その財物の内容が何なのかは、詐欺の故意を判断するうえで重要だと思われるのですが、その部分が抽象化されていくことは、刑事処罰の範囲が拡大していることにつながるように思えて、本当にそれでいいのかについてやや疑問が残ります。
とはいえ、このような形式の詐欺も増えているということが、本件を契機に社会に周知されて、協力する人がいなくなっていけばいいと思われるところです。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所