よしの法律事務所コラム

2018.09.17更新

柔道事故に関して地裁と高裁の判断が逆となった事案となります。1審の福岡地裁の判決は、本ブログにおいて、昨年5月30日付で紹介しています。報道によれば、本年9月6日付けで上告が棄却されたとのことですので高裁判決も紹介します。
高裁判決は、事故の態様について「一審原告AやEのそれぞれの行動が明らかに危険なものであったとは認められない」と原審の判断を変更した上で、「G教諭の上記指導方法は上記各手引書等の要請を概ね満たしていた」ことや「一審原告Aは、中学校3年間、柔道部に所属して多くの練習及び試合を経験したこと、本件事故当時の年齢や一審原告Aの本人尋問における供述内容等を考えると、G教諭の上記指導内容を理解し、柔道が怪我や事故の危険を孕む競技であり、無理に技を掛けたり、頭部を畳みに打ちつけることの危険性は十分認識していた」ことなどを理由に「G教諭の通常の授業課程における安全指導について不適切な点があったとは認められない」などと判断して、一審判決を取り消して、学校側の責任を認めない判断をしました。
しかし、その一方で高裁判決は「G教諭を含めたD高校の教諭らが、前年度の武道大会における2件の事故について詳しく調査した上で、本件大会での事故防止対策を具体的に検討した形跡が見当たらないことは、本件大会における事故防止策に不十分な点があったことを示すものといわざるをえず、また、生徒に本件大会前に練習試合を行わせたり、本件大会の開会式において、生徒に対して張り切りすぎて怪我をしないように改めて注意を行なうことは、生徒が本件大会の形式や雰囲気等により反則行為や無理に技を掛けるなどの危険な行為に及ぶことを防止するという観点からは望ましいといえる」とも述べています。
このような事故を防ぐためには、事前の事故防止対策を十分に検討することが重要ではないかと思われますが、その点が軽んじられているように読める内容であることが残念に思われます。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87538

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所