よしの法律事務所コラム

2018.03.23更新

東京電力の福島第一原子力発電所の事故に対する損害賠償請求の集団訴訟に関する判決になります。国の責任を追及する集団訴訟としては、前橋地裁、千葉地裁、福島地裁に続く4件目の判決です。
判決では「津波到来の危険が間近に迫っているというような緊急状態ではなかったとはいえ、①地震や津波の経験やそれへの被告国の対応等を通して、防災意識が高まってきた中で、被告国の機関である地震対策本部が、防災対策のためにとりまとめた公式的見解である長期評価の見解によれば、津波到来の危険をある程度具体的に予見することは十分可能であったこと、②原子炉施設は高度な安全性が要求されていること、③予見の内容が自然科学的知見を要するもので、その性質上確実な予測まで期待できないこと、④原子力災害は一旦起きれば取り返しがつかない重大な被害を生じ得ること、⑤権限行使にあたっては被告東電の不利益を考える必要があるものの、権限行使は困難ではなかったこと、⑥被害の防止の措置は一般人ではなしえず、経済産業大臣の権限行使によってしかなし得ないこと、⑦施設周辺の住民を中心とした生命、身体、財産等の具体的利益を保護する電気事業法及び炉規法の各趣旨などによると、どれほど遅くとも、平成18年末時点においては、経済産業大臣は権限行使をすべきであり、そうすれば本件事故を回避できた可能性は高いといえる」と判断して国の責任を認めました。
「原子力災害は一旦起きれば取り返しがつかない重大な被害を生じ得る」ということを正面から受け止めて、国の責任を認めたことは十分に評価できる内容だと思います。

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所