2016.02.26更新

退職金に関する最高裁の判例です。「就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無については、当該変更を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく、当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度、労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様、当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして、当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも、判断されるべきものと解するのが相当である」という一般論を前提に、同意書に署名押印がなされているだけでは不十分で「同意書への同人らの署名押印がその自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点」からの検討が必要と判断しています。このケースは、自己都合での退職金が0になってしまうという不合理な変更内容であったことも大きな理由だとは思いますが、労働条件を労働者にとって不利益に変更する場合には、客観的・合理的な理由を十分に説明することが必要だということを考えさせられる判例だと思います。

弁護士吉野隆二郎

2016.02.19更新

福島第一原発の事故による被害者が東京電力や国の責任を追及する裁判は、全国では現在30件近く行われています。その全国各地の原発被害者がともに手を取り合って裁判を進めるとともに、運動を広げて行くために、2月13日に「原発被害者訴訟原告団全国連絡会」を設立しました。連絡会には21原告団の約9700人が参加したとのことです。共同代表の一人からは「避難の有無や避難場所など互いの立場の違いを乗り越え団結することで、私たちの訴えを広く社会に発信していきたい」という発言もあったようです。
私としては、今後も原発被害者の被害救済のために少しでも役に立つように弁護団活動を続けていきたいと思っております。

弁護士吉野隆二郎

2016.02.13更新

原発なくそう!九州玄海訴訟の原告1万人記念フェスティバルが、2月6日の午後に福岡国際会議場で行われました。「原発ゼロで日本経済は再生する~脱原発を実現するためのアドバイス」というタイトルで、吉原さんの記念講演が行われました。その講演の中で、吉原さんは、原発をやめれば日本経済が停滞するというような考え方は誤りで、再生可能エネルギーによる発電を地方が行うことによって、電気を売却して収入を得られるようになるだけではなく、発電設備のメンテナンス等のための仕事が生み出されることによって地方経済は活性化され、日本経済の再生につながるのだということを熱く語られました。九州という地方に住んでいる者として非常に考えさせられる講演でした。

弁護士吉野隆二郎

2016.02.06更新

Q 弁護士に負債の問題について依頼をしようと思っているのですが、その場合に私の信用情報はどうなるのでしょうか

A 弁護士が介入した場合には、原則として「弁護士介入」という記載がなされることになります。そのため、日本弁護士連合会は、債務整理事件の依頼を受ける場合には「信用情報機関において借入金返済能力に関する情報を登録され、金融機関からの借入れ等に関して支障が生じるおそれのあること」について説明しなければならないという規則を定めています。
なお、信用情報機関の1つの株式会社日本信用情報機構は、平成22年4月19日までで「契約内容見直し」の収集・提供を廃止しました。過払いの請求だけの場合は、これに該当するため、信用情報に登録されないことになります。
ところで、信用情報の中には、「延滞」というのものもありますので、一定期間の遅滞があれば、弁護士に依頼をしていない場合にも、新たな借入等について不利益に扱われる場合があります。また、貸金業法の改正によって、個人の借入総額は、原則として年収等の3分の1までに制限されており、それは指定の信用情報機関に照会することが前提となっておりますので、それが理由で新たな借入ができない場合もあります。

弁護士吉野隆二郎

2016.01.29更新

Q 自己破産すべきかどうか悩んでいるのですが、破産することのメリット・デメリットはどのようなことがあるのでしょうか。

A 破産することのメリットは、免責を得ることによって、過去の負債の支払い義務がなくなることです。
過去の負債の支払い義務がなくなることに対応して、一定のデメリットはあります。最大のデメリットは、不動産などの高価な資産を売却しなければならなくなることです(日常生活に必要な家具などは一定の範囲で差押禁止財産になりますので、売却する必要はなくなります)。また、信用情報機関に破産ということで登録されるため、一定の期間は新たな借入はできなくなります。
法律上の制限としては、お金を扱う職業(弁護士や会計士など)は欠格事由となります(免責によって、当然に復権するので、復権後は、そのような仕事に復帰することは可能です)。会社の取締役の場合には、破産は委任契約の終了原因であるため、いったん、取締役を辞めなければなりません(その後、株主総会決議によって再度取締役に選任されることは可能です)。再度の破産申立をして免責を得るためには、原則として免責決定が確定して7年間が経過していることが必要となります。
その他、官報という国の広報誌に破産した事実が掲載されます。市町村の破産者名簿への掲載は、新破産法の施行(平成17年1月1日)後は、裁判所から市町村への通知は、免責が不許可の場合など一定の場合に限られているので、免責を得られた場合には、破産者名簿にも掲載されることはなくなりました。

弁護士吉野隆二郎

2016.01.23更新

Q 賃借していた居住用の建物から転居した後に、貸主に敷金の返還を請求しましたところ、預けていた敷金以上の補修費がかかったとして、敷金を返してもらえません。敷金はまったく返してもらえないものなのでしょうか。

A 賃貸住宅の退去時における原状回復をどの範囲で行うのかについては、トラブルが急増し、社会問題化しています。
そのため、国も基準作りが必要であると考え、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(国土交通省住宅局:平成23年8月)というものが作られています(インターネット上で公開されています)。このガイドラインでは、「原状回復」を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(以下「損耗等」という。)を復旧すること」と定義しています。すなわち、経年変化によるような損耗について、原則として、賃借人が補修費を支払う必要はありません。また、補修を負担する場合であっても、可能な限り毀損部分に限定して、補修工事が可能な最低限度を施工単位とすることを基本としています。よって、全面的な壁の貼り替えなどは、原則として賃借人の負担にはなりません。
裁判所においても、以上のようなことを前提に、「賃借建物の通常の使用に伴い生ずる損耗について賃借人が原状回復義務を負うためには,賃借人が補修費用を負担することになる上記損耗の範囲につき,賃貸借契約書自体に具体的に明記されているか,賃貸人が口頭により説明し,賃借人がその旨を明確に認識して,それを合意の内容としたものと認められるなど,その旨の特約が明確に合意されていることが必要である」(平成17年12月17日最高裁判決)という判断を下しています。

弁護士吉野隆二郎

2016.01.18更新

Q 借金の返済に困っているのですが、できれば、住宅は手放したくありません。何かいい方法はないのでしょうか。

A 個人再生手続によって、住宅ローンはこれまで通り支払いをしながら、それ以外の借金(総額が5000万円以下)の一定割合を3~5年間で支払うという裁判所を利用する手続が考えられます。実際のこの手続を利用するに適しているかは、借金の額や資産の状況、現在の収入などを総合的に判断しなければなりません。
また、住宅ローン以外の事業資金の抵当権が住宅に入っている場合にはこの手続は利用できませんし、住宅の価値(現在の住宅の価格から住宅ローンの差を差し引いたもの)が大きい場合など、この手続の利用に適さない場合があります。詳しくは、弁護士などにご相談下さい。

弁護士吉野隆二郎

2016.01.05更新

本日から、2016年の業務を開始いたしました。開業2年目を迎え福岡市博多区の方を始め多くの方々へリーガルサービスを提供していくため今年も努力して参ります。

 

弁護士吉野隆二郎

2015.12.25更新

平素は当事務所をご利用いただき誠にありがとうございます。
誠に勝手ながら、2015年12月26日(土)から2016年1月4日(月)まで年末年始休業とさせていただきます。
ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願い申し上げます。

弁護士吉野隆二郎

2015.12.15更新

12月12日午後1時30分から佐賀市民会館大会議室において、諫早湾開門研究者会議と有明海漁民・市民ネットワークが主催した表記シンポジウムが開催されました。
漁業者の発言からは、有明海の漁業不振が深刻な状況にあること、2002年4月から1か月足らずで行われた短期開門調査の効果を漁業者が強く感じており、開門調査が行われることの期待が大きいことが明らかになりました。
その一方で、研究者の中にも、シミュレーションを前提に開門調査を行っても効果が低いなどとして開門調査に消極的な意見を述べる方がいらっしゃいます。
過去の調査データが乏しかったことなどから、シミュレーションでは有明海の環境変化が十分に再現できなかったことをふまえて、福岡高等裁判所が開門を命じたという経緯にたちかえって、研究者の方々にはこの問題に取り組んでいただきたいと思います。

弁護士吉野隆二郎

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