2016.05.18更新

破産手続開始前に成立した第三者のためにする生命保険契約に基づき破産者である死亡保険金受取人が有する死亡保険金請求権が、破産財団に属するのかが争われた事案です。
「第三者のためにする生命保険契約の死亡保険金受取人は、当該契約の成立により、当該契約で定める期間内に被保険者が死亡することを停止条件とする死亡保険金請求権を取得するものと解されるところ、この請求権は、被保険者の死亡前であっても、上記死亡保険金受取人において処分したり、その一般債権者において差押えをしたりすることが可能であると解され、一定の財産的価値を有することは否定できないものである。」ということを前提に「したがって、破産手続開始前に成立した第三者のためにする生命保険契約に基づき破産者である死亡保険金受取人が有する死亡保険金請求権は、破産法34条2項にいう『破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権』に該当するものとして、上記死亡保険金受取人の破産財団に属すると解するのが相当である。」として破産財団に含まれると判断しました。
本件は、破産申立代理人であった弁護士も注意義務違反を理由に訴えられている事案でもあり考えさせられる判例です。

弁護士吉野隆二郎