2016.03.25更新

珍しい条文の判例です。民法第910条は「相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する」と定めています。遺産分割終了後に、認知の裁判で勝訴した相続人(子)が、価格の請求(金銭請求)をした場合に、①遺産の価格を評価するのはいつの時点か、②いつから遅滞になるのか(いつから遅延損害金が発生するのか)が争点となった事例です。①については、「価格の支払いを請求した時点」で、②「期限の定めのない債務」なので履行の請求を受けたときに遅滞になるという高裁の判断が正しいことを認めました。素直な解釈をすればそのとおりかなという気がします。

弁護士吉野隆二郎