2016.03.04更新

2月23日に熊本国際交流会館で行われた表記小委員会の傍聴に行ってきました。午前には、「海域再生対策検討作業小委員会」(第12回)が開催されました。今年中に委員会報告(平成19年以降の議論のとりまとめ)を作成するために、有明海・八代海を海域ごとにわけて「問題点と原因・要因の考察」のとりまとめの作業のための議論がされていました。そもそも、有明海・八代海の海域の状況が悪化していることから、それを再生するために何をすべきかを議論すべき委員会だと私は理解しているのですが、調査データが2000年代前半くらいからしかないため、そのデータを前提にすると変化がない、というような結論が繰り返されている内容でした。さすがに、ある委員の方が、例えば、「ベントスの減少」という項目について「変化が見られない」というような結論だけであれば、問題点や原因の分析になっていないのではないか、という真っ当な指摘をされていました。結局、2000年のノリの大不作以降のデータがどれだけ充実しても、過去に十分な調査データがない以上、同じ議論の繰り返しにしかなりません。だからこそ、諫早湾干拓事業の有明海に及ぼした影響について調査するために、開門調査をすべきという結論に向かうべきなのに、相変わらず諫早湾干拓事業の問題は、タブー視し続けています。これでは、有効な再生策の提言など、まったく期待できません。

弁護士吉野隆二郎