よしの法律事務所コラム

2018.02.28更新

表記タイトルの講演会が、2月24日(土)の13時30分から諫早市民センターで行われました。講演者のキムギョンチョル(金敬哲)さんは、NGO「湿地の鳥たちの仲間」の保全局長をされているとのことで、釜山市を流れる洛東江河口堰の開門のための活動もされているとのことでした。河口を堰で締め切ったことによって、川の水質が悪化するとともに、河口の干潟が失われたことからシジミなどの魚介類に獲れなくなるなど、自然環境に大きな影響が与えられているようです。その環境を改善するために、河口堰を部分的に開けて海水交換をして、水質の改善や漁業資源の回復を図ろうという取組のようです。現在、岐阜県の長良川河口堰でも同様の問題が生じているようですが、諫早湾干拓の問題とも比較できる話だなと感じました。部分的に開けることによる塩分増加の影響についてシミュレーションがなされているようですが、シミュレーションはあくまでシミュレーションに過ぎず、実際に一部開放してみてその影響を調査することに意義があるのだという話は、シミュレーションを盾にとって開門しようとしない農林水産省の姿勢と比べて、環境保護に関する考え方が進んでいると感じました。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

キムギョンチョル

投稿者: よしの法律事務所

2018.02.16更新

マンション管理組合の理事長の地位に関する紛争の判例です。
管理規約では、「理事及び監事は、組合員のうちから総会で選任」し、「理事長及び副理事長等は、理事の互選により選任」すると定める一方で、「役員の選任及び解任については、総会の決議を経なければならない」と定められているところ、「理事の過半数の一致により理事長の職を解き、別の理事を理事長に定めること」ができるかが争われた事案のようです。
最高裁は「理事長を理事が就く役職の1つと位置付けた上、総会で選任された理事に対し、原則として、その互選により理事長の職に就く者を定めることを委ねるものと解される。そうすると、このような定めは、理事の互選により選任された理事長について理事の過半数の一致により理事長の職を解き、別の理事を理事長に定めることも総会で選任された理事に委ねる趣旨と解するのが、本件規約を定めた区分所有者の合理的意思に合致するというべきである」と判断して、理事の過半数による理事長の職を解くことを認めました。
理事の選任は理事の過半数で決められるのに、一度理事長を決めてしまうと、総会で理事を解任しない限り、理事長が交代できないというのは、バランスも悪いように思えますので、妥当な結論ではないかと思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87311

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2018.02.09更新

外れ馬券の購入代金が必要経費に該当するかが争われた事案の最高裁判決になります。「所得税法上、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得で、営利を目的とする継続的行為から生じた所得は、一時所得ではなく雑所得に区分される」ことから、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」と言えるか、「外れ馬券の購入が経費になるか」などが争点となったようです。
最高裁はまず「被上告人は、予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って馬券を購入することとし、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入することを目標として、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら、6年間にわたり、1節当たり数百万円から数千万円、1年当たり合計3億円から21億円程度となる多数の馬券を購入し続けたというのである。このような被上告人の馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様に照らせば、被上告人の上記の一連の行為は、継続的行為といえる」と述べて「継続的行為」であることを認めました。
次に「被上告人は、上記6年間のいずれの年についても年間を通じての収支で利益を得ていた上、その金額も、少ない年で約1800万円、多い年では約2億円に及んでいたというのであるから、上記のような馬券購入の態様に加え、このような利益発生の規模、期間その他の状況等に鑑みると、被上告人は回収率が総体として100%を超えるように馬券を選別して購入し続けてきたといえるのであって、そのような被上告人の上記の一連の行為は、客観的にみて営利を目的とするものであったということができる」と述べて「営利の目的」があることも認めました。
そして「被上告人は、偶然性の影響を減殺するために長期間にわたって多数の馬券を頻繁に購入することにより、年間を通じての収支で利益が得られるように継続的に馬券を購入しており、そのような一連の馬券の購入により利益を得るためには、外れ馬券の購入は不可避であったといわざるを得ない。したがって、本件における外れ馬券の購入代金は、雑所得である当たり馬券の払戻金を得るため直接に要した費用として、同法37条1項にいう必要経費に当たると解するのが相当である」と述べて「経費性」も認めました。
この判例を読む限りでは、かなりの金額を使った継続的な馬券の購入なので、かなりレアケースの事案だと考えられ、外れ馬券の購入が一般的に経費になるかと言われると何とも言えないところではないかと思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87308

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所