よしの法律事務所コラム

2017.12.14更新

四国電力の伊方原子力発電所の運転の差止めを求めた事案で、全国の高等裁判所で始めて原発の運転の差止めが認められた決定です(平成30年9月30日までという期限がつけられています)。

http://saiban.hiroshima-net.org/karishobun/decision.html
決定では「原子力発電所の立地評価(設計対応不可能な火山事象が原子力発電所の運用期間中に影響を及ぼす可能性の評価)につき、火山ガイド(原子力規制委員会が策定した安全性審査の内規)」では、「火砕流が原子力発電所に到達する可能性が十分小さいと評価できない場合は、原子力発電所の立地は不適となり、当該敷地に原子力発電所を立地することは認められない」と定められているところ、「四国電力が行った伊方原発敷地周辺の地質調査や火砕流シミュレーションからは、阿蘇4噴火の火砕流が伊方原発敷地に到達した可能性が十分小さいと評価することはできない」ことから、「伊方原発の立地は不適であり、伊方原発敷地に原子力発電所を立地することは認められない」と判断しました。
要するに、原子力規制委員会の定めた火山ガイドに反するから、運転が認められないと判断したようです。
新規制基準=安全という考え方には疑問がありますが、新規制基準が守られていないという裁判所の指摘は貴重なもののように思います。
この決定に関して、昨日、日弁連の会長声明も出されています。

https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2017/171213.html

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2017.12.04更新

改正前の強制わいせつ罪に関して、「強制わいせつ罪が成立するためには、その行為が犯人の性欲を刺戟興奮させまたは満足させるという性的意図のもとに行なわれることを要」するという昭和45年の最高裁判決の解釈が争われた事案であり、最高裁の大法廷で審理がなされたものです。
判決では、最新の法律改正をふまえて「これらの法改正が、性的な被害に係る犯罪やその被害の実態に対する社会の一般的な受け止め方の変化を反映したものであることは明らかである」と述べたうえで、「刑法176条にいうわいせつな行為に当たるか否かの判断を行うためには、行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で、事案によっては、当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し、社会通念に照らし、その行為に性的な意味があるといえるか否かや、その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断せざるを得ないことになる。したがって、そのような個別具体的な事情の一つとして、行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得ることは否定し難い。しかし、そのような場合があるとしても、故意以外の行為者の性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当でなく、昭和45年判例の解釈は変更されるべきである」と結論づけました。
そのうえで、「本件についてみると、第1審判決判示第1の1の行為は、当該行為そのものが持つ性的性質が明確な行為であるから、その他の事情を考慮するまでもなく、性的な意味の強い行為として、客観的にわいせつな行為であることが明らかであり、強制わいせつ罪の成立を認めた第1審判決を是認した原判決の結論は相当である」として、上告を棄却しました。
ややわかりにくいのですが、「性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とする」という解釈は否定されましたが、客観的にわいせつな行為でない場合には「行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得る」とのことですので、判断に迷うケースも出てきそうな気がします。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87256

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所