よしの法律事務所コラム

2017.11.29更新

東京地裁では、債権差押えをする際に、申立の日までの遅延損害金を確定金額として記載する取り扱いにしているそうですが、その債権差押えで全額の回収ができずに、再度、債権差押えをする場合に、どのような請求ができるかが争われた事案のようです。
最高裁は、このような東京地裁の取扱い自体は「請求債権の金額を確定することによって、第三債務者自らが請求債権中の遅延損害金の金額を計算しなければ、差押債権者の取立てに応ずべき金額が分からないという事態が生ずることのないようにするための配慮として、合理性を有するものである」と判断しましたが、実際の充当に関しては「本件取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者は、債権差押命令に基づく差押債権の取立てに係る金員の充当の場面では、もはや第三債務者の負担に配慮をする必要がないのであるから、上記金員が支払済みまでの遅延損害金に充当されることについて合理的期待を有していると解するのが相当であり、債権者が本件取扱いに従って債権差押命令の申立てをしたからといって、直ちに申立日の翌日以降の遅延損害金を上記金員の充当の対象から除外すべき理由はないというべきである」と判断して、最初の債権差押え申立日以降の遅延損害金を充当した結果に基づく、再度の債権差押えをすることを認めました。
裁判所の取扱い(運用)によって、判決等で確定した権利が少なくなってしまうというのはやはりおかしい気がするので、この判断は妥当なものだと思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87129

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2017.11.21更新

弁護士法25条1号(弁護士は、次に掲げる事件については、その職務を行つてはならない。1号:相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件)に違反するとして、訴訟行為の排除を求めるという珍しい事案の最高裁の決定となります。
最高裁は、訴訟行為を排除する裁判を求める申立権を相手方は有していることを前提に、不服申立として即時抗告が認められるが、即時抗告の申立をできるのは訴訟代理人の訴訟行為を排除された当事者(依頼者)であって、排除を申し立てられた訴訟代理人は即時抗告の申立はできないと判断しました。
そのうえで、破産管財人から提訴された否認訴訟などにおいて、破産者である会社の破産申立代理人が、否認訴訟などの相手方の訴訟代理人になることは、弁護士法25条に反するとして、排除されるべきものと判断しました。
破産を申立てる代理人には、財産の不当な流出等を防止する義務があると言われており、その観点からすると、否認訴訟などの相手方の訴訟を受任するのは問題だと言われればそのとおりかと思いますが、どのような事件を受任するかについて考えさせられる決定です。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87117

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2017.11.15更新

11月7日から11日までの間に、湿地の保全や利用の取り組みを論議する「第8回アジア湿地シンポジウム」(環境省など主催)が佐賀市内で開催されました。その開催にあわせて11月9日(木)に佐賀市のアバンセの会議室で行われた表記シンポジウム(主催:諫早湾開門研究者会議、有明海漁民・市民ネットワーク、後援:ラムサール・ネットワーク日本)に参加しました。会場は70席ほどの広さでしたが、満員の状態で有明海問題に関する関心の高さがうかがえました。豊かなころの有明海の状況を若い人々に伝えていくことが重要ではないかという意見はそのとおりだと感じました。

アジア湿地シンポ


弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2017.11.08更新

県議会の議員の政務活動費の中に使途の基準に違反して支出されたものがあるとして、当該支出をした議員らに不当利得の返還を求める住民訴訟において、住民側が県議会の議長に提出された政務活動費の支出に係る領収書などの資料を、議長の所属する自治体(県)に文書提出命令を申し立てた事案のようです。
自治体は、文書の所持者は議長なので、自治体に提出義務はないとして争ったようです。
最高裁は、地方公共団体は、その機関が保管する文書について、文書提出命令の名宛人となる文書の所持者にあたると判断して、自治体の抗告を棄却しました。
条例では支出の報告資料は議長に提出すると定められているようですが、結局は、県議会の資料の保管場所、すなわち、県の施設の中に保管されている資料なのでしょうし、行政が保管する文書を、単純な名宛人の名義を前提に開示しないことは問題だと思われますので、妥当な判断だと思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87116

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所