よしの法律事務所コラム

2017.07.24更新

少し前(7月1日)の朝日新聞に前原子力規制委員長代理の島崎邦彦さんのインタビューが掲載されていました。
「昨年の熊本地震で得られた新データで、揺れの予測でも計算式の問題が分かりました。いまの式を使った大飯原発の揺れの想定は過小評価で、別の式を使った方がよいと確信したのです。それで、裁判でも何ででも話さなければ、と決意したという経緯です」「言い続けないとうやむやになる。最たるものが東日本大震災でした。太平洋岸で大津波を発生させる地震が起きる可能性があるという政府の地震調査研究推進本部(地震本部)の02年の見解に携わったのに社会に広く伝えることができませんでした。そして1万8千人余りが犠牲になった。僕にも責任がある。『想定外』をもう起こさないようにすることが、僕にできることだと思っています」「事故直後は、あの事故を二度と起こしてはいかないとの思いを委員も職員も持っていた。それぞれ大変な経験をし、何かを抱えていましたから。大きな変化は審査過程の公開制を重視したことです。これで外から介入されにくく、独立性が保たれるようになりました」「もちろん、めげるときはありました。何度も名指しで批判記事を書かれたり、政治家が我々の判断を『科学的でない』と公言したり。そういうときは、被災した人の手記を読みました。一人ひとりが大変な思いをされている。それを読み『なにくそ』と」「規制委は、再稼働すべきかどうかを審査しているのではないのです。一定規模以上の事故が1基あたり100万年に1回程度を超えないようにする安全目標を掲げ、それぞれの原発が規制基準を満たしているのかどうかを審査しているだけです。世界最高水準の規制基準という言葉が独り歩きしていますが、単に日本が地震国、火山国だから、その分、安全基準が厳しい、というくらいの話なのです。事故が起きないわけではありません」などと述べられていました。

http://www.asahi.com/articles/DA3S13013142.html
昨年の熊本地震、そして、全国のいたるところで地震が発生していることから、原発を本当に動かし続けていいのかを再検討すべき時期にきているように思います。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2017.07.18更新

医師の残業代の未払いが争われた事案の最高裁判決となります。判決は「労働基準法37条が時間外労働等について割増賃金を支払うべきことを使用者に義務付けているのは,使用者に割増賃金を支払わせることによって,時間外労働等を抑制し,もって労働時間に関する同法の規定を遵守させるとともに,労働者への補償を行おうとする趣旨によるものであると解される」ことや「使用者が労働者に対して労働基準法37条の定める割増賃金を支払ったとすることができるか否かを判断するためには,割増賃金として支払われた金額が,通常の労働時間の賃金に相当する部分の金額を基礎として,労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回らないか否かを検討することになるところ,同条の上記趣旨によれば,割増賃金をあらかじめ基本給等に含める方法で支払う場合においては,上記の検討の前提として,労働契約における基本給等の定めにつき,通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要」であることを前提に、本件では「通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することはできない」ことから、「被上告人の上告人に対する年俸の支払により,上告人の時間外労働及び深夜労働に対する割増賃金が支払われたということはできない」と判断して、原判決を破棄して、「被上告人が,上告人に対し,通常の労働時間の賃金に相当する部分の金額を基礎として労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金を全て支払ったか否か,付加金の支払を命ずることの適否及びその額等について更に審理を尽くさせるため」東京高裁に差し戻すという判断を示しました。
本件は、「時間外規程に基づき支払われるもの以外の時間外労働等に対する割増賃金について,年俸1700万円に含まれることが合意されていた」ようですが、「上記年俸のうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分は明らかにされていなかった」事案のようです。
労働基準法37条の「時間外労働の抑制」という観点からすると、医師の長時間労働を抑制するためには、必要な判断であったように思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86897

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2017.07.11更新

福岡県弁護士会が主催する九州北部豪雨で被災された方に対する無料電話相談が本日から始まりました。昨年の熊本地震の際にも無料電話相談の担当をいたしましたが、その際に無料電話相談の必要性も感じましたので、被災された方への少しでもお役に立てればと思っていたところ、たまたま、私は本日の初日に担当になりました。被災直後ということもあり、それほど電話はかかってきませんでしたが、何名かの被災者に対して多少の法的助言をさせていただきました。
今後もこの相談に協力して、被災者の方に少しでもお役に立てればと思っているところです。

http://www.fben.jp/whatsnew/2017/07/post_478.html

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所

2017.07.06更新

強制執行認諾文言のある公正証書で養育費の支払いが定められているケースで、すでに支払期限が到来しているものについて未払いの養育費がある場合に、支払期限が到来していない養育費を請求の根拠とする債権(被保全債権)として、養育費を支払わない相手方が所有する不動産の仮差押えが認められるかが争われた珍しいケースの最高裁の決定になります。
原審の東京高裁は、「本件においては、債務名義が存在する被保全権利につき、なお民事保全制度を利用し権利保護を図る特別の必要性は認められない」と判示して、仮差押えを却下した東京地裁立川支部の決定の結論を支持して抗告を棄却しました。最高裁は「本件事実関係の下においては、所論の点に関する原審の判断は是認することができる」と判断して、東京高裁の結論を支持しました。
この結論に対しては、2名の裁判官の反対意見があり、給料その他の継続的給付に係る債権に対しては期限未到来のものについても差押えが可能かこととのバランスや、現時点では対象不動産には住宅ローンがあるため余剰がないが将来的には余剰が生じる可能性が否定できないことなどから権利保護の利益を否定できないという指摘がなされています。
一般論として、強制執行認諾文言のある公正証書があれば別途判決を取得する必要はなく、強制執行が可能なのですから、仮差押さえする必要はないと思いますが、この事案で仮差押えを認めなかった判断については、評価も分かれるのだろうなと思いました。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所