よしの法律事務所コラム

2016.09.28更新

沖縄県知事が2015年10月13日に行った公有水面埋立の承認処分を取り消す処分(本件取消処分)を行ったことに対し、国(沖縄防衛局)が、地方自治法245条の7第1項に基づき、本件取消処分の取り消しを求める是正指示をしたが、知事が本件取消処分を取り消さない上、法定の期間内に是正の指示の取消訴訟をも提起しないことから、地方自治法251条の7に基づき、国が知事に対して、不作為の違法の確認を求めた事案です。
判決は以下にアップされています。

http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/henoko/

行政訴訟の特殊な類型の事件のため、なかなか、理解が容易でない内容だと思いますが、「取り消すべき公益上の必要としては、自然海浜を保護する必要等があげられるが、他方、本件埋立事業を行う必要性(普天間飛行場の危険性の除去)自体は肯定できる。前者が後者に程度において勝ったというにすぎず、その分、取り消すべき公益上の必要が減殺される」とされていますが、沖縄の貴重な自然を守ることと、普天間飛行場の危険性の除去することの両方が実現できるような解決案は、本当にないのでしょうか。
私は、2013年7月の日弁連の調査、2015年2月の九弁連の調査と2回現地調査に参加しましたが、美しい海を見て、そこに生息する生物の説明を聞くと、どうして、この海を埋め立てなければならないのかの疑問が今も深まるばかりです。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2016.09.17更新

9月15日に熊本商工会議所ビルで行われた「海域再生対策検討作業小委員会」「生物・水産資源・水環境問題検討作業小委員会」の合同会議(第15回)を傍聴してきました。この会議では、平成18年12月に公表された「委員会報告」をこの10年間の研究成果をふまえてバージョンアップする報告書を作成するための議論が行われました。諫早湾内(A6海域)に関して「データがある2005年以降はベントスの減少はみられていない」というような記載がなされていました。このような記載では、諫早湾内には何の問題がないという誤解を与えるのではないかという指摘が委員からありました。諫早湾内は、かつてはタイラギの宝庫であり、2005年以前にタイラギが獲れなくなりました。諫早湾内の漁場環境の悪化の事実を記載することをできるだけ避けようとしている事務局の態度を見ると、何のためにこの作業をやっているのかについて疑問に思えました。「(諫早湾)干拓による潮流流速の影響については、諫早湾から島原半島沿岸での流速の低下を示す次のような複数のモニタリング又はシミュレーションの報告がある」という記載もありますが、そのような諫早湾干拓の問題へ踏み込んだ記載が少ないのが残念なところです。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2016.09.05更新

最高裁平成22年6月4日判決は,自動車の売買に際し,販売会社,信販会社及び購入者の三者間で,購入者が販売会社から自動車を買い受けるとともに,その売買代金を自己に代わって販売会社に立替払いすることを信販会社に委託すること,当該自動車の所有権が購入者に対する債権の担保として留保されること,及び,登録所有名義のいかんを問わず,販売会社に留保されている当該自動車の所有権が立替払いにより信販会社に移転し,購入者が立替金等債務を完済するまで信販会社に留保されること等を内容とする契約を締結したという事案につき,信販会社の取得する留保所有権の被担保債権(立替金等債権)が,販売会社の有していた留保所有権の被担保債権(売買代金債権)とは異なることから,信販会社が購入者との間で独自の留保所有権を設定したと評価すべきことを理由に,信販会社の留保所有権の取得につき,立替払の結果,販売会社が留保していた所有権が代位により信販会社に移転するという構成を否定し,信販会社が独自の留保所有権を行使するためには,信販会社の登録所有名義が必要であると判断したものである。
この判例が出てからは、信販会社に登録名義がない場合に、三者間の合意を前庭に信販会社が引き揚げた場合には、偏頗的な代物弁済として、否認権対象行為にあたるというという考え方も有力になっているところです。
この判決は、「自動車の割賦販売において,購入者の委託により,販売会社に対し割賦金債務の連帯保証をした信販会社が,購入者に代わって弁済したときには,法定代位により割賦金債権及び販売会社に留保された自動車の所有権を取得することが合意された事案において,信販会社が,保証債務の履行として,販売会社に割賦金債務 の弁済をした後に,購入者について破産手続が開始された場合,信販会社は,破産手続開始の時点で自動車の所有登録名義を得ていなくても,破産管財人に対し,別除権の行使として,留保所有権に基づく自動車の引渡しを求めることができる」と判断しました。この判決は、信販会社が連帯保証をしており、法定代位を根拠とすることなどから、自動車の引き渡しを認めました。
このように細かいところで判断が分かれると、倒産手続きの際に自動車の引き揚げにどう対応したらいいか、悩みが増えるばかりです。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=85940

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所