よしの法律事務所コラム

2016.07.25更新

報道によれば、ジュピターテレコム株式会社(ケーブルテレビのJ-COM)を完全子会社化するための手続きに関する決定のようです。
「多数株主が株式会社の株式等の公開買付けを行い,その後に当該株式会社の株式を全部取得条項付種類株式とし,当該株式会社が同株式の全部を取得する取引において,独立した第三者委員会や専門家の意見を聴くなど多数株主等と少数株主との間の利益相反関係の存在により意思決定過程が恣意的になることを排除するための措置が講じられ,公開買付けに応募しなかった株主の保有する上記株式も公開買付けに係る買付け等の価格と同額で取得する旨が明示されているなど一般に公正と認められる手続により上記公開買付けが行われ,その後に当該株式会社が上記買付け等の価格と同額で全部取得条項付種類株式を取得した場合には,上記取引の基礎となった事情に予期しない変動が生じたと認めるに足りる特段の事情がない限り,裁判所は,上記株式の取得価格を上記公開買付けにおける買付け等の価格と同額とするのが相当である。」と判断しました。
独立した第三者委員会や専門家の意見を聴くなど意思決定過程が恣意的になることを排除するための措置が講じられるなどの手続き保障がなされたと裁判所が判断した場合には、少数株主が価格に対する不服を述べることは難しいということを示した決定です。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85989

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2016.07.15更新

3月9日に高浜原発の運転の差し止めを命じた仮処分の保全異議審の決定です。
大津地裁は、高浜原発の運転の再開を認めませんでした。
理由を見ると、関西電力は、新規性基準の合理的であること及びその基準に適合していることについて、主張立証する必要がないかのような主張をしているようで、その点につき裁判所は「しかしながら,このような債務者の主張は,原子力規制委員会が設置された経緯及び原子力制委員会設置法1条所定の趣旨に照らし,採用できない。新規制基準は,福島第一原子力発電所の重大な事故に起因して,確立された国際的な基準を踏まえて施策を策定するとの同条の趣旨に基づいて制定された規制であり,この規制を利用せずして,原子力発電所の設置者ないし運転者が直接安全性を主張及び疎明できるとする根拠は,見当たらず,新規制基準が合理的であること及びこの基準に適合していることについても,主張及び疎明すべきである。」と判断しています。
また、関西電力は、「本件各原発に具体的にどのような欠陥があり,その欠陥に起因して,どのような機序で放射性物質の異常放出等の事故が発生し,これによって債権者らのそれぞれの人格権を侵害するに至るのかが明らかにされない限り,具体的危険性があるとはいえない」とも主張しているようですが、これに対しても裁判所は「しかしながら,原子力規制委員会設置法1条は,我が国の原子力行政の根本的な視点として,原子力利用における事故の発生を常に想定し,その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立つことを明らかにしていること,事業者である債務者において安全性に欠ける点のないことの立証を尽くさなければ,本仲各原発の安全性に欠ける点のあることが推認されるといえること,現実に起こってしまった福島第一原子力発電所事故とそれによる甚大な被害を目の当たりにした国民にとっての社会通念は,原発の安全性の欠如から人格権の侵害は直ちに推認されるものとなっているといえることからすると,この点の債務者の主張も採用することはできない。」と判断しています。
福島第一原子力発電所の事故がなかったかのような関西電力の主張を認めなかった決定は、社会通念にかなうものではないかと思います。

http://www.nonukesshiga.jp/20160712.html

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所

2016.07.11更新

会社の飲み会後に交通事故にあった事案で労災が認められたことから話題となった判例です。
「以上の諸事情を総合すれば,Bは,本件会社により,その事業活動に密接に関連するものである本件歓送迎会に参加しないわけにはいかない状況に置かれ,本件工場における自己の業務を一時中断してこれに途中参加することになり,本件歓送迎会の終了後に当該業務を再開するため本件車両を運転して本件工場に戻るに当たり,併せてE部長に代わり本件研修生らを本件アパートまで送っていた際に本件事故に遭ったものということができるから,本件歓送迎会が事業場外で開催され,アルコール飲料も供されたものであり,本件研修生らを本件アパートまで送ることがE部長らの明示的な指示を受けてされたものとはうかがわれないこと等を考慮しても,Bは,本件事故の際,なお本件会社の支配下にあったというべきである。また,本件事故によるBの死亡と上記の運転行為との間に相当因果関係の存在を肯定することができることも明らかである。」と判示して、業務上の事由による災害に当たると認定しました。
上司からの強い要請があったこと、終了後には会社に戻って仕事をすることが予定されていたこと、懇親会の目的は中国人研修生との親睦を図ることで会社が全額を負担していたことなどが労災を認める判断の要素となっており、例外的に労災と認めてもらうためには、丁寧な事実調査が必要だと感じました。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86000

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所