2016.05.31更新

5月24日に天神チクモクビル大ホールで行われた「海域再生対策検討作業小委員会」(第13回)の午前中の会議のみ傍聴してきました。
「再生への取り組み(概要)」として、「貧酸素水塊の改善方策検討のための要因解析」についての説明がありました。結論として、水温・二枚貝・流入負荷のそれぞれが貧酸素水塊の規模の増減に寄与することが試算結果として示された、とまとめられていました。
しかし、そのような結論を得るためにわざわざ新たにシミュレーションを行っていることに疑問を感じました。貧酸素水塊の発生をどうやったら防止ないし緩和できるのかを検討すべきなのですが、水温の上昇は人為的なコントロールは効きませんし、減少している二枚貝を簡単に増やせるわけではありません。流入負荷は、近年増加していないのですから、検討する意味もありません。結局、何のために費用と時間をかけて検討しているのか分かりません。
そもそも、水温があがれば海水中に成層が発生するので、貧酸素水塊は発生しやすくなります。二枚貝が減少したことや流入負荷の増加によって、赤潮が発生しやすくなって、その結果として貧酸素水塊が発生しやすくなります。これらの事象は、わざわざ、新たにシミュレーションしなくても分かっていることです。
堂々巡りの調査をいつまでやっても成果はないと思います。有明海の再生のためには、開門しかないという思いを強くしました。

弁護士吉野隆二郎

2016.05.24更新

5月15日~16日にかけて、昨年の9月に発生した鬼怒川の洪水被害が発生した現地を見て、被害にあわれた方々のお話を聞く機会がありました。自然災害のおそろしさについて感じましたが、想定を超えるような短期間の雨量が毎年のように全国各地で発生している現状を見ると、想定外ということがどこまで許されるのかということを考えさせられました。特に、被害にあわれた方々から、水害の被害はハザードマップ通りに生じているというお話を聞くと、避難などのソフト対策については、もう少し対応ができなかったのかと思うばかりです。

弁護士吉野隆二郎

2016.05.18更新

破産手続開始前に成立した第三者のためにする生命保険契約に基づき破産者である死亡保険金受取人が有する死亡保険金請求権が、破産財団に属するのかが争われた事案です。
「第三者のためにする生命保険契約の死亡保険金受取人は、当該契約の成立により、当該契約で定める期間内に被保険者が死亡することを停止条件とする死亡保険金請求権を取得するものと解されるところ、この請求権は、被保険者の死亡前であっても、上記死亡保険金受取人において処分したり、その一般債権者において差押えをしたりすることが可能であると解され、一定の財産的価値を有することは否定できないものである。」ということを前提に「したがって、破産手続開始前に成立した第三者のためにする生命保険契約に基づき破産者である死亡保険金受取人が有する死亡保険金請求権は、破産法34条2項にいう『破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権』に該当するものとして、上記死亡保険金受取人の破産財団に属すると解するのが相当である。」として破産財団に含まれると判断しました。
本件は、破産申立代理人であった弁護士も注意義務違反を理由に訴えられている事案でもあり考えさせられる判例です。

弁護士吉野隆二郎

2016.05.09更新

岡崎慎司選手が所属しているチームが、イングランドのプレミアリーグで優勝しました。レスターの選手の年間人件費が、20チーム中18位であったことから、「奇跡の優勝」などと言われているようです。ちなみに、レスターの選手の年間人件費は、2750万ポンドと言われています。1ポンドを155円とすると、42.6億円ほどになります。日本のプロ野球チームの外国人を含む総人件費は、ホークス(53.3億)、ジャイアンツ(45.3億)の順番とのことで、レスターの人件費はそれ以外のチームより多いようです。サッカーと野球の選手の保有人数の差を考えると、プレミアリーグは下位チームでも資金力があることに驚きました。放映権の分配金などの収入があるからでしょうが、スポーツビジネスが日本よりも成熟しているのだと考えさせられます。

弁護士吉野隆二郎

2016.05.02更新

1976年以来、毎年6月の環境月間にあわせて、省庁、加害企業の本社が集中する東京で、全国の公害・薬害・環境問題に取り組む諸団体(大気汚染、水俣病、イタイイタイ病、カネミ油症、スモンなどの薬害、有明海再生、川辺川ダム、軍事基地被害、そして福島の原発事故被害者のみなさんなど)で、全国公害被害者総行動を行ってきました。2015年が40周年の節目の年でしたことから、九州地区でも同様の集まりを行うこととし、昨年2月に福岡市で開催し、今年は4月23日の午後に佐賀県教育会館で表記のイベントとして行われました。玄海原発、有明海の再生の問題、TPP、佐賀空港へのオスプレイ配備問題など、佐賀県と関わりの深いテーマに関してパネルディスカッションが行われました。玄海原発対策住民会議の1991年当時の「住民の安全確保のための申し入れ」の中に「緊急避難計画をただちにつくり、住民の安全を確保して下さい」「ヨーソ剤については、即座に町民に届けられるように町で保管してください」というような現在にも通じるような内容が含まれていたことに感心しました。佐賀大学の元学長の長谷川照さんからは原子力基本法が2014年6月の改正によってこれまでの「平和」利用目的だけでなく「我が国の安全保障に資すること」も目的に加えられたという指摘もありました。

弁護士吉野隆二郎