よしの法律事務所コラム

2018.11.08更新

遺留分の請求に関する最高裁の判例です。
事案を整理すると、父親の相続の際に、妻と子ども4人(そのうち1名は養子で子どものうちの1名の妻)のうち、妻と養子が養子の夫(子)に各自の相続分を譲渡して相続手続から脱退し、譲渡を受けた相続分をふまえた遺産分割の調停が成立していたようです。この父親の相続の際に脱退した妻(母親)が相続分の譲渡を受けた相続人に全財産を相続させる内容の公正証書での遺言をしたことから、母親が亡くなった際の相続において、遺留分の算定の基礎となる財産の範囲が争いになりました。
最高裁は「相続分の譲渡は、譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き、譲渡人から譲受人に対し経済的利益を合意によって移転するものということができる。遺産の分割が相続開始の時に遡ってその効力を生ずる(民法909条本文)とされていることは、以上のように解することの妨げとなるものではない」いう前提を述べたうえで「したがって、共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡は、譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き、上記譲渡をした者の相続において、民法903条1項に規定する『贈与』に当たる」と判断しました。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88060
相続分の譲渡は、原則として「特別受益」になるというような考え方は、始めて示されたように思います。遺留分制度の趣旨から、相続分の譲渡を利用して、特定の相続人の取得分が突出して増えてしまう不均衡を是正しようという考えからの判断ではないかとは思いますが、その当否については現状では何とも言い難いように思えます。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所