よしの法律事務所コラム

2018.04.25更新

親権に基づく子の引き渡しに関して、家庭裁判所の手続を利用せず、民事の仮処分申立を行った事案の最高裁の決定です。
最高裁は、「離婚した父母のうち子の親権者と定められた一方は、民事訴訟の手続により、法律上監護権を有しない他方に対して親権に基づく妨害排除請求として子の引渡しを求めることができると解される」と一般論として民事の仮処分手続を利用することは認めました。
しかし、「親権を行う者は子の利益のために子の監護を行う権利を有する(民法820条)から、子の利益を害する親権の行使は、権利の濫用として許されない」という一般論を述べたうえで、「抗告人が、子の監護に関する処分としてではなく、親権に基づく妨害排除請求として長男の引渡しを求める合理的な理由を有することはうかがわれない」と判断して、「権利の濫用」で引き渡しを認めませんでした。
この決定を読むと、民事の仮処分を利用する場合で、「権利濫用」にならないケースがあるのかとやや疑問に思いますが、どのような手続が行えるのかの一般論については参考になるケースかと思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87288

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所


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