よしの法律事務所コラム

2017.07.18更新

医師の残業代の未払いが争われた事案の最高裁判決となります。判決は「労働基準法37条が時間外労働等について割増賃金を支払うべきことを使用者に義務付けているのは,使用者に割増賃金を支払わせることによって,時間外労働等を抑制し,もって労働時間に関する同法の規定を遵守させるとともに,労働者への補償を行おうとする趣旨によるものであると解される」ことや「使用者が労働者に対して労働基準法37条の定める割増賃金を支払ったとすることができるか否かを判断するためには,割増賃金として支払われた金額が,通常の労働時間の賃金に相当する部分の金額を基礎として,労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回らないか否かを検討することになるところ,同条の上記趣旨によれば,割増賃金をあらかじめ基本給等に含める方法で支払う場合においては,上記の検討の前提として,労働契約における基本給等の定めにつき,通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要」であることを前提に、本件では「通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することはできない」ことから、「被上告人の上告人に対する年俸の支払により,上告人の時間外労働及び深夜労働に対する割増賃金が支払われたということはできない」と判断して、原判決を破棄して、「被上告人が,上告人に対し,通常の労働時間の賃金に相当する部分の金額を基礎として労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金を全て支払ったか否か,付加金の支払を命ずることの適否及びその額等について更に審理を尽くさせるため」東京高裁に差し戻すという判断を示しました。
本件は、「時間外規程に基づき支払われるもの以外の時間外労働等に対する割増賃金について,年俸1700万円に含まれることが合意されていた」ようですが、「上記年俸のうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分は明らかにされていなかった」事案のようです。
労働基準法37条の「時間外労働の抑制」という観点からすると、医師の長時間労働を抑制するためには、必要な判断であったように思います。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86897

弁護士吉野隆二郎

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投稿者: よしの法律事務所