よしの法律事務所コラム

2017.07.06更新

強制執行認諾文言のある公正証書で養育費の支払いが定められているケースで、すでに支払期限が到来しているものについて未払いの養育費がある場合に、支払期限が到来していない養育費を請求の根拠とする債権(被保全債権)として、養育費を支払わない相手方が所有する不動産の仮差押えが認められるかが争われた珍しいケースの最高裁の決定になります。
原審の東京高裁は、「本件においては、債務名義が存在する被保全権利につき、なお民事保全制度を利用し権利保護を図る特別の必要性は認められない」と判示して、仮差押えを却下した東京地裁立川支部の決定の結論を支持して抗告を棄却しました。最高裁は「本件事実関係の下においては、所論の点に関する原審の判断は是認することができる」と判断して、東京高裁の結論を支持しました。
この結論に対しては、2名の裁判官の反対意見があり、給料その他の継続的給付に係る債権に対しては期限未到来のものについても差押えが可能かこととのバランスや、現時点では対象不動産には住宅ローンがあるため余剰がないが将来的には余剰が生じる可能性が否定できないことなどから権利保護の利益を否定できないという指摘がなされています。
一般論として、強制執行認諾文言のある公正証書があれば別途判決を取得する必要はなく、強制執行が可能なのですから、仮差押さえする必要はないと思いますが、この事案で仮差押えを認めなかった判断については、評価も分かれるのだろうなと思いました。

弁護士吉野隆二郎

福岡市博多区博多駅前2-10-12-208

投稿者: よしの法律事務所