2016.05.31更新

5月24日に天神チクモクビル大ホールで行われた「海域再生対策検討作業小委員会」(第13回)の午前中の会議のみ傍聴してきました。
「再生への取り組み(概要)」として、「貧酸素水塊の改善方策検討のための要因解析」についての説明がありました。結論として、水温・二枚貝・流入負荷のそれぞれが貧酸素水塊の規模の増減に寄与することが試算結果として示された、とまとめられていました。
しかし、そのような結論を得るためにわざわざ新たにシミュレーションを行っていることに疑問を感じました。貧酸素水塊の発生をどうやったら防止ないし緩和できるのかを検討すべきなのですが、水温の上昇は人為的なコントロールは効きませんし、減少している二枚貝を簡単に増やせるわけではありません。流入負荷は、近年増加していないのですから、検討する意味もありません。結局、何のために費用と時間をかけて検討しているのか分かりません。
そもそも、水温があがれば海水中に成層が発生するので、貧酸素水塊は発生しやすくなります。二枚貝が減少したことや流入負荷の増加によって、赤潮が発生しやすくなって、その結果として貧酸素水塊が発生しやすくなります。これらの事象は、わざわざ、新たにシミュレーションしなくても分かっていることです。
堂々巡りの調査をいつまでやっても成果はないと思います。有明海の再生のためには、開門しかないという思いを強くしました。

弁護士吉野隆二郎