2016.03.10更新

引き続き、2月23日の午後は、「生物・水産資源・水環境問題検討作業小委員会」(第12回)が開催されました。この中で、「再生へ向けたケーススタディ」として2つの事例が紹介されました。1つは「カキ礁の再生」として、有明海湾奥東側のカキ礁のバイオマスが現況の2倍になった場合のシミュレーションを行ったところ、有明海の底層溶存酸素が3mg/lを下回る水塊の容積が現況よりも最大で約2割小さくなったという報告がなされました。そのシミュレーションによれば、有明海湾奥東側のカキ礁の影響が、有明海湾奥西側だけでなく、諫早湾内にも及ぶようです。諫早湾内の漁業環境の悪化の影響は有明海奥部には及ばないと国は言い続けているのですが、どうして、有明海湾奥部東側の改善の影響は、諫早湾に及ぶのでしょうか。これまでの国が根拠とするシミュレーションの信用性が疑われます。海はつながっているのですから、このように、有明海湾奥部と諫早湾が互いに影響を及ぼし合うということは当然だと思うのですが。

弁護士吉野隆二郎